ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

日米金利差で説明できなくなった円ドルレート
円安をもたらしたのは、ユーロ情勢の変化か、投機か?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第3回】 2013年12月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 為替レートや株価は、今年の春以降ほぼ膠着状態にあったが、11月中旬以降、円安が進み株価が上昇している。これは、新しいトレンドになるのだろうか? 以下では、為替レート変動の要因について考えることとしたい。

為替レートの推移

 日本の平均株価は、円ドルレートだけでほとんど説明できてしまう(野口悠紀雄『虚構のアベノミクス』第4章の5を参照)。11月中旬以降の株高も、ほとんど円安で説明することができる。

 日本の政策は関係ないし、日本企業が強くなったからでもない。円安が、円表示の輸出価額を増やして、利益を増価させるからだ。本来は、製造業の輸出企業が影響されるはずだが、株価全体が影響されている。

 したがって、為替レートこそ重要だ。為替レートは、株価だけでなく、経済のさまざまな変数に影響を与える重要な変数だ。そこで、以下では、これに関する分析を行なうこととしよう。

 まず、名目の円ドルレートの推移を見ると、つぎのとおりだ。

 リーマンショック後に円高が進んだが、2011年以降は、1ドル=80円程度であまり大きく動かなかった。ところが、12年11月頃から急激に円安になり、12年10月末の1ドル=80円程度から、13年3月末の99円程度まで、円安が進んだ。その後は、98~100円程度の範囲内にあった。それが11月中旬から102円程度の円安になっている。

 ユーロに対しても、リーマンショック後に円高が進み、12年には1ユーロ=100円程度となっていた。ところが12年夏頃から円安が進み、13年2月には125円程度となり、さらに5月には130円程度となった。その後は、130~135円程度だったが、11月初めから円安が進み、140円程度となっている。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

アベノミクスの本質は、株価や為替レートなど資産価格のバブルを利用して、経済が好転しているような錯覚を人々に与えるものだ。人々の将来への「期待」を高め、それを実体経済の改善につなげようとする。たしかに、株価は上がり、輸出企業の利益は増えているが、賃金や設備投資に回復の兆しは見られない。果たして、人々の「期待」は実現するのか、それとも「幻滅」に変わるのだろうか?

「野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき」

⇒バックナンバー一覧