みんなの党では12月9日、江田憲司前幹事長ら14人の国会議員が離党届を提出した。

 35人中の14人と言えば、ちょうど4割。集団離党というより、真っ二つに分裂してしまったと言える。

 今後この2つの勢力が独自色を発揮して共に生き残る道はあるが、逆に2つとも失速して消え去る可能性もないとは言えない。特に分裂当初の罵り合いにがっかりした人は多く、少なからず「どっちもどっち」という印象を与えてしまった。

稀代の改革派、渡辺・江田両氏
“統治構造の改革”以外で共通項見えず

 私は渡辺喜美、江田憲司の両氏には今まで最大級の敬意を抱いてきた。それは今も基本的には変わっていない。

 渡辺氏は自民党にあって担当大臣として行政改革に取り組み、公務員制度改革に一定の成果を挙げたにもかかわらず、それに満足せず、あえてたった1人で離党してその志を貫こうとした。そんなことができる政治家が他にいるだろうか。

 一方の江田氏は、同じく改革に不退転の決意を持ち、何と自民にも民主にも属さずに完全無所属の議席を維持して時機の到来を待ち続けた。常に当選しやすい道を選択する政治家が時代を打開する指導者になった例はあるだろうか。彼の改革姿勢の本気度は群を抜いている。

 渡辺、江田両氏の出会いは運命的と言えるが、私は“統治構造の改革”以外の重要政策での考え方にかなりの隔たりがあると思っていた。だから本欄でも何度となく「改革のメドがついたら袂を分かつほうがいい」とも指摘してきた。だが現実には改革のために2人が本格始動する前に分裂の事態を迎えた。実に残念である。だから、公務員制度改革をはじめ統治構造改革の本番にはもう一度手を結べる余地を残しておいてほしいと切に望んでいる。