AKB48「ヘビーローテーション」
の秘密

堀江 なんでこんな話をしてるかというと、僕って基本的に写真を撮られるのが苦手なんですよ。たった数カットのために2時間も3時間も拘束されて、同じポーズとってみたいな。飽きちゃうし、疲れるんですよね。

蜷川 私すっごい早いよ。早くて有名(笑)。

堀江 すばらしい。あれ、なんでみんないっぱい撮るんですか?

蜷川 悩んでるんじゃないですか。自信がないとか。それに、たくさん撮ってたら仕事した気になれるし(笑)。

堀江 そうですよね!

蜷川 うん、うまい人は早いって、みんな言いますよ。

堀江 篠山紀信さんとか、めちゃくちゃ早いですからね。

蜷川 でも、なんの仕事もそうじゃないですか?

堀江 そうですね。仕事ができる人はメールの返信も早いし。

蜷川 忙しい人ほど早いですよね(笑)。

堀江 あと、蜷川さんの作品の中でいうと、AKB48の「ヘビーローテーション」のミュージックビデオはすごいですよね。

蜷川 ほんと? よかったー。

堀江 みんな生き生きしてるじゃないですか。

蜷川 私が女子校育ちなので、女の子同士でしか見られない顔っていうか、異性を意識していない無防備なかわいさをよく知ってたんです。それで秋元(康)さんに「こういうふうにやりたいんですけど」って聞いたら、「もう蜷川さんが思ってる以上に、思いっきりやってください」って背中を押してくれて。だからああいうビデオができた。

堀江 しかも下着姿ですからね。攻めてるなー、と思いましたよ。

蜷川 あれも、たとえば衣装部屋とか控え室で「今日はこういう下着でお願いします」って言っても、みんな嫌がったかもしれない。だからあのかわいらしいセットの中に下着を並べて、「こういう世界観で撮るから、こういう下着なんだよ」って切り出して。そうするとみんな「かわいい! 私これにする!」って言ってくれたんですよね。

堀江 なるほどなー。男の監督じゃ絶対に撮れないですね。

蜷川 うん、男の人が用意した下着を着るのは、たぶん抵抗ありますよね。あと、男性はそういう時、遠慮するんで。現場に関していうと、もう「女同士だから大丈夫だよね」で押していったので。

堀江 そういう女子校っぽい雰囲気、出てますよ。

蜷川 調べたら、それまでのディレクターさんがみんな男の人だったから、もう「これで行こう!」って決めましたよね。

(後編に続く)


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【本書の主な目次】
第0章 それでも僕は働きたい
第1章 働きなさい、と母は言った──仕事との出会い
第2章 仕事を選び、自分を選ぶ──迷い、そして選択
第3章 カネのために働くのか?──「もらう」から「稼ぐ」へ
第4章 自立の先にあるつながり──孤独と向き合う強さ
第5章 僕が働くほんとうの理由──未来には希望しかない

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