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嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え
【第2回】 2013年12月27日
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古賀史健

第2回
他者の期待を満たすために
生きてはいけない

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 課題の分離という発想に納得できない青年に対し、哲人はこんな言葉をぶつけます。

哲人 あなたは大きな勘違いをしている。いいですか、われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」のです。

青年 なんですって?

哲人 あなたは他者の期待を満たすために生きているのではないし、わたしも他者の期待を満たすために生きているのではない。他者の期待など、満たす必要はないのです。

青年 い、いや、それはあまりにも身勝手な議論です! 自分のことだけを考えて独善的に生きろとおっしゃるのですか?

哲人 ユダヤ教の教えに、こんな言葉があります。「自分が自分のために自分の人生を生きていないのであれば、いったい誰が自分のために生きてくれるだろうか」と。あなたは、あなただけの人生を生きています。誰のために生きているのかといえば、無論あなたのためです。そしてもし、自分のために生きていないのだとすれば、いったい誰があなたの人生を生きてくれるのでしょうか。われわれは、究極的には「わたし」のことを考えて生きている。そう考えてはいけない理由はありません。

 われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」。そして同時に、他者もまた「あなたの期待を満たすために生きているのではない」。自分を曲げてまで相手の期待に合わせる必要はないし、相手が自分の思うとおりに動いてくれなくても、怒ってはいけない。それが当たり前なのだと考えるのです。哲人は一気に畳みかけます。

哲人 われわれはみな、対人関係に苦しんでいます。それはご家族との関係かもしれませんし、職場での対人関係かもしれません。そして前回、あなたはいいましたね? もっと具体的な方策がほしい、と。
 わたしの提案は、こうです。まずは「これは誰の課題なのか?」を考えましょう。そして課題の分離をしましょう。どこまでが自分の課題で、どこからが他者の課題なのか、冷静に線引きするのです。
 そして他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。これは具体的で、なおかつ対人関係の悩みを一変させる可能性を秘めた、アドラー心理学ならではの画期的な視点になります。

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古賀史健 (こが・ふみたけ)

 

ライター/編集者。1973年福岡生まれ。1998年出版社勤務を経てフリーに。これまでに80冊以上の書籍で構成・ライティングを担当し、数多くのベストセラーを手掛ける。20代の終わりに『アドラー心理学入門』(岸見一郎著)に大きな感銘を受け、10年越しで『嫌われる勇気』の企画を実現。

 


嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

フロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨頭とされながら、日本では無名に近いアルフレッド・アドラー。彼はトラウマの存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善する具体策を示してくれます。まさに村社会的空気のなかで対人関係に悩む日本人にこそ必要な思想と言えるでしょう。本連載では、アドラーの教えのポイントを逐次解説することでわかりやすく伝えます。

「嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え」

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