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岸博幸のクリエイティブ国富論

2013年コンテンツ産業でもっとも注目すべき変化は?
音楽ビジネスを進化させた“レーベルサービス会社”

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第250回】 2013年12月27日
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 どうも最近は経済や政策に関することばかり書いていたので、2013年の締めくくりとなる今回は、今年のコンテンツ産業でもっとも注目すべきと考えられる出来事について説明しておきたいと思います。それは音楽ビジネスでの“レーベルサービス会社”の成長です。

“レーベルサービス会社”とは何か

 これまで、アーティストが音楽活動を行なう場合、大別すれば、

①レーベル(レコード会社)と契約して、契約期間は、レコーディング費用の捻出に加え、流通(リアル、デジタル)とプロモーションのすべてを任せる

②レーベルに属さず、自力か少数のスタッフでレコーディング、流通、プロモーションなどを行なう

 のどちらかでした。

 もちろんかつては①が圧倒的に音楽ビジネスの主流でしたが、過去15年の間にデジタルとネットが普及するに伴い、レーベルの存在価値が徐々に低下してきた面は否めません。

 そうした中で、今年になって欧米ではレーベルサービス会社という新しい業態が普及しました。この会社は、一言で言えばコンサルタントみたいなものなのですが、レーベルが複数年か複数枚のアルバムで契約するのに対して、アルバム1枚単位で契約し、そのアルバムの流通やプロモーションを行なう形になっています。

 そして、欧米では、レーベルと契約した場合はアルバムの売り上げのうちアーティストの取り分はだいたい20%程度であるのに対して、レーベルサービス会社との契約ではその割合が非常に大きくなっています。例えば、ドイツが本拠地のレーベルサービス会社BMGの場合、売り上げのうち75%がアーティストの、そして25%が会社の取り分となっています。

 ちなみに、このBMGはドイツのメディア・コングロマリットのベルテルスマン傘下の企業ですが、2008年に当時の傘下レーベルであったBMGをソニーに売却しています。つまり、一度レーベルを手放した企業が、今度はレーベルサービス会社をやっているのです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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