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マーケットで成功するための投資の心理学

長いものには巻かれるべきか

多数派に従う「同調」の心理

林 康史 [立正大学経済学部教授]
【第3回】 2007年11月13日
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 前回、群集心理について少し書いた。なぜ人は群れ集うと、群集心理に陥るのだろうか。いや、別に群衆というほどの人数でなくても、人は他人の影響を受けているのである。

 認知科学では、「同調」と呼ばれる、1950年代に心理学者ソロモン・アッシュが行った実験が知られている。

 この実験では、一室に集めた30名ほどの人に、図Aと図Bの2枚のカード上に引いた線を見せて、図Bのなかの1)2)3)のどれが図Aと同じ長さかを聞く。3本の線は、ほとんど全員が正解するほど明確に長さが異なっている。

 アッシュの実験では、集まった人のうち1人だけが本当の被験者で、残りは全員サクラ(もちろん、本当の被験者はそのことを知らない)である。そして、サクラが一致して誤った答えを言い、その後に本当の被験者が答えるという手順を踏むことになっていた。

 実験の結果、被験者の3割以上がサクラと同じ誤った答えを選んだ。正解の答えを選んだ人も、自分の見たままを答えるために、多くは冷や汗をかくなど必死の思いだったという。アッシュ自身、実験の結果に驚いたほど、人は同調してしまうものなのである。
 
 別の例を挙げよう。1950年代以降、アメリカでは心理学が発達し、その後しばらくして、テレビ番組でも、いわゆる「ドッキリカメラ」が流行するのだが、それらの番組の例も興味深い(もちろん、私はリアルタイムで見ているわけではない)。

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林 康史 [立正大学経済学部教授]

大阪大学法学部卒。東京大学法学修士。メーカー・生命保険・証券投資信託・銀行で、海外営業・外国為替ディーラー・ストラテジストなどを経験した後、2005年4月から現職。投資の心理に関する著訳書多数。最新刊に、『決定版 株価・為替が読めるチャート分析』(日経ビジネス人文庫)、『バリュー投資』(日経BP社)。立正大学経済学部では、「投資入門(テクニカル分析とシステム入門)」をテーマとする公開講座を開催します(4/14、4/21、4/28。受講料は無料)。講師は林康史氏。問い合わせ先:立正大学経済学部 TEL: 03-3492-7529 E-mailメール: eco@ris.ac.jp


マーケットで成功するための投資の心理学

長年金融の実務に携わってきた著者が、相場における成功や失敗の原因を、人間の心の働きと経済の関係を研究する行動経済学の立場から解き明かす。

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