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「引きこもり」するオトナたち

職場はブラック企業ばかりで這い上がれない!
派遣を転々とする大学院卒ロスジェネ世代の絶望

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第184回】

 かつてベッドタウンとして名を馳せた住宅地で孤立し、ロスジェネ世代を象徴するような思いを抱えたある男性の現状を、今回は紹介したい。

 高度経済成長期の頃、あこがれの住宅地とされていたある郊外の私鉄沿線駅のアパートに住む30歳代の男性Aさんは、半年ほど前まで派遣社員の職を転々としていた。しかし、いまは身体を壊し、失業保険でアパートの家賃を払いながら、求人に応募し続けている。

 「正直、自分以外の人間との接触を避けるようにしています」

 郊外の住宅地でも、こうして仕事に就くことができないまま、やがて外に出る理由がなくなり、地域に埋もれて引きこもっていく人たちは少なくない。

「死に場所は決めてあります」
ブラック企業に虐げられ続ける身体

 「大阪で31歳の女性が餓死したニュースを見たとき、自分ごとのようにつらかったです。同時に、これからさらに増えるだろうなとも思いました。私も、死に場所は決めてあります」

 そう明かすAさんは、大学院を卒業後、一部上場企業に就職した。しかし、仕事の内容は新人のときからトラック運転手。しかも、1人で1日15時間近くもハンドルを持たされる状態が続き、数ヵ月で過労退職に追い込まれた。

 しばらく何もできない状態が続いた。復帰したのは、それからちょうど1年後のことだ。

 この4年余りの間は、アルバイトと正規雇用を行ったり来たり、転々とした。

 「とにかく、ハローワークの求人のいい加減さに頭にきています。2回にわたって採用されたのですが、手取りが15万円台だったり、正社員のはずが、実際には日雇いの土方だったり…。散々でした」

 身体を壊しては会社を辞め、また働きはじめても身体を壊して辞める…という繰り返しだった。

 「呆れたのは、ハローワークを通じて就職した会社が、退職後にいい加減な雇用保険の処理を行い、本来は1人に1つしかない保険番号が2つも存在していたことです。ハローワークに紹介されて、やっと面接までたどり着けても、ブラック企業ばかり。安心して働けるような職場はありませんでした」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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