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ドラクエアプリの返金騒動からわかった
家庭用人気ゲームとガチャビジネスの相性の悪さ

石島照代 [ジャーナリスト],小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第48回】 2014年2月12日
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 ここまでの話から考えられるのは、いわゆるソーシャルゲームも含めた、アイテム課金システムが組み込まれた基本無料で遊べるゲームのユーザーには、大きく分けて「ゲームの中の話は演出であり、基本無料ゲームのアイテム課金は高くて当たり前」と考えるソーシャルゲーム育ちのタイプと、「ゲームは遊びなんだから、払うなら家庭用ゲームソフト程度の課金総額がフツー」と考える家庭用ゲーム機に慣れたタイプの、2タイプがいるということである。このダブルスタンダードの状態、もしくはこのダブルスタンダードをうまく使い分けるユーザーを相手に、今回の事件は発生していると考えられる。

ゲームトレンドとともに
変化するユーザータイプ

 確かに、ユーザーの種類はゲームトレンドとともに変化してきており、この二種類だけではとどまらない。下図は筆者(小山)が、プレイヤーの嗜好を、イギリスのゲーム研究者バートルの分類に従って、Player(他のプレイヤー)-World(ゲーム世界)の軸と、Acting(自ら行動することを重視する)-Interacting(他のプレイヤーと共に行動することを重視する)の軸の2軸で分類し、日本のオンラインゲーム(いわゆるソーシャルゲームも含む)のトレンドを重ねたものである。

 ゲームタイプの流行をこの4分類で説明していくと、90年代後半から00年代前半に流行した「MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)」は他のプレイヤーと何かを成し遂げることを重視する「Explorer」タイプのプレイヤーが多いとされており、Interacting&World(右下)に分類される。

 次に、2000年代後半に流行した「カジュアルゲーム」、たとえば「サンシャイン牧場」などの野菜などを育てて友人とプレゼント交流するようなゲームは、他のプレイヤーとの交流を重視する「Socializer」タイプのプレイヤーが多い。また、既存のゲームではほとんど無かった領域で、Interacting&Player(左下)に分類される。

 2010年前半に流行した、年に100万円も達するような重課金をものともしないユーザーに高負担を強いるタイプのオンラインゲーム、たとえば「アイドルマスター シンデレラガールズ」のようなゲームは、対戦格闘ゲームのプレイヤーの動機に近い、他のプレイヤーを倒すことを目的とする「Killer」タイプのプレイヤーが中核をなしている。Acting&Playerとして左上に分類される。

 そして、現在流行している「パズドラ」や「艦これ」などは自分で何かを達成することを目的とする「Achiever」タイプのプレイヤーが多い。彼らは、非オンラインゲームにおける、従来型のRPGやアドベンチャーゲームのプレイヤーと同じ動機をもっていることが特徴である。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

小山友介
[芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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