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雪山を駆け回っているのは、ディスカバリーチャンネルの人気番組「サバイバルゲーム」で有名な冒険家、ベア・グリルス。小川に落ちていたスマートフォンを拾い上げ「生き残っていた」と感慨深げに語る。
手にしていたのは京セラのスマホ「トルク」である。2013年3月に米国で発売し、高耐久性をウリにしたCMで話題を呼んだ端末を、京セラは今年3月にいよいよ日本に投入する。狙うのは法人向けのスマホ市場だ。
日本メーカーのスマホは、ソニーを除き海外ではさっぱりのイメージがあるかもしれない。しかし、意外なことに、米国で健闘しているのが京セラなのだ。
調査会社IDCによると、13年1~9月の米国スマホ市場での京セラの出荷台数は390万台。シェアは4.1%と5位で、日本メーカーで唯一トップ5に食い込み、気を吐いている。
京セラの米国での売れ筋は100~150ドル台で、防水性、耐衝撃性を備えた“タフ”なスマホ。とりわけトルクは、落下や耐振動など9項目の過酷環境下における米国国防総省の軍事規格に準拠し、その特徴をさらに尖らせた。
NEC撤退が誘い水
だが、なぜいまになってタフなスマホを日本に投入するのか。背景には、NECが昨年スマホから撤退したことにある。
高耐久性の携帯電話というニッチ市場で、国内で存在感を示してきたのはカシオ計算機だった。
2000年に「G'z One(ジーズワン)」で参入し、耐久性に優れた同社の腕時計にちなんで「Gショック携帯」の通称で親しまれていた。その後、カシオの携帯電話事業は日立製作所と統合した後、10年にNECに吸収された。