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山崎元のマネー経済の歩き方

なぜ投資家は経験で進歩しないのか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第110回】 2010年1月4日
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 投資家は経験によって学習することが「どの程度」可能なのだろうか。これは難しい問題だ。

 集団としての投資家も経験から学習して行動を改善することは難しいようだ。たとえば、内外いずれにあってもアクティブ・ファンドの平均的な運用成績はインデックス・ファンドに劣り(日米いずれでも毎年6~7割のアクティブ・ファンドが市場平均に劣る)、しかも、投資家が将来相対的に優れたファンドを事前に選ぶことは困難だ。だとすると、手数料が高いのにアクティブ・ファンドに対する投資家がいなくならないことは不自然(非合理的)である。

 それでもアクティブ・ファンドの投資家がいる理由は、ファンド選択に関して行動経済学でいう「オーバー・コンフィデンス(自信過剰)」が働くからだろう。

 アクティブ・ファンド問題以外にも投資家の学習が進まない、思い切っていえば、投資家が経験で進歩しないと思うことは多い。

 なぜなのだろうか?

 最大の理由は、投資家は経験を自分の感情に都合よく記憶するからだろう。たとえば、投資したアクティブ・ファンドの成績がよかった場合には「自分はいいファンドを選ぶ能力がある」と記憶し、成績が悪かった場合には「運用者が下手で失敗した」とだけ覚えるといった具合だ。この調子で少しずつ自尊心を保護していくと、蓄積される経験に偏りが生じる。

 別の理由としては、現実に自分が儲けたり損をしたりすることの経験の印象が強過ぎて、抽象的・論理的な思考を退けてしまうことが考えられる。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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