「安いから買う」は危険! 個人投資家が陥る“勘違い”と思い込みのワナ
テレビ・ネットで「日本のウォーレン・バフェット」と話題! 1936年(昭和11年)、兵庫県の貧しい農家に4人兄弟の末っ子として生まれた。高校を出してもらってから、ペットショップに就職。そこでお客だった証券会社の役員と株の話をするようになった。そして19歳のとき、4つの銘柄を買ったことが株式投資の始まりだった。あれから68年、バブル崩壊では10億円あった資産が2億円にまで減った。しかし89歳になった今、資産は20億円以上に増え、月6億円を売買しながら、デイトレーダーとして日々相場に挑んでいる。隠しごとなしに日常生活から投資法まで全部書いた話題の書『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。

【資産20億円・89歳の現役トレーダー】一気に7000万円近い利益を引き寄せた投資の特徴写真:川瀬典子

上がっても後悔なし、自分のルールが最優先

 以前、ニデック株に着目したときのこと、買いが相次ぎ、寄り付きは8200円のスタート。そのまま値を落とすことなく、引け時点で8592円の値を付けました。

 寄り付きの8200円でも買っておくと儲かったでしょうが、「悔しい」とか「買っておけばよかった」とはまったく思いません。

 今回はたまたま上がりましたが、自分のなかで根拠を持たずに好決算だと思って飛びつくとやられるからです。ちなみに案の定、その後1か月もすると株価は7300円台まで下がりました。自分の基準をしっかり持っておくことが、長い商いにつながるのです。

TAKISAWAのTOBで思わぬ大成功

 余談ですが、ニデック関連では以前、決算が発表されるわずか1週間ほど前にだいぶ儲けさせてもらいました。というのも、ニデックが工作機械メーカーのTAKISAWAを株式公開買い付けにより買収(TOB)すると発表したからです。

 工作機械事業を新たな成長の柱に据えるニデックが、さらなる成長のためにTAKISAWAの旋盤技術をとり入れようとした形です。

 公開買い付け価格は1株当たり2600円。公開買い付けとは、株主に対して買付価格や期間などを公表し、保有している株式を売ってくれるよう勧誘する仕組みです。つまり、「1株2600円」での買い取りが確約されているということです。

大量保有がもたらしたリターン

 TOBが発表される前、同社の株価は1400円ほどでした。しかし、この発表を受けて株価は2500円ほどまで上昇しました。

 私は1200円ほどで買った同社の株を、実に4万9000株保有していました。(2600円-1200円)×4万9000株と計算すると、そのまま持っているだけで6860万円の儲けになります。

 これは嬉しい誤算ではありましたが、そもそもTAKISAWAの実力を高く評価していたからこそ、これだけの株を保有していたのです。「株価が安い」だけを理由に株を選んでしまうと、このような幸運にもなかなか巡り合えないでしょう。