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2030年のビジネスモデル

「ポジティブ福祉」が始まる

齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]
【第17回】 2014年3月13日
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 「“かっこいい”、“かわいい”、“けっこうおもろい”の三拍子のことなんだけど、本当にそう。今日みたいな雪の日でも嵐でも大地震が起きても、施設やおうちには利用者さんがいます。電車が動かないから、とか言っていられません。なんとかして相手の居場所に辿り着いて必要な介護技術を施す。これは全ての対人援助職に言えることだけど、そこに誰かがいる限り向かっていくというのはレスキュー隊やドクターなどと一緒。こういうことを世の中では“きつい”、“きたない”、“給料どうのこうの”と言っておるのでしょうか? もしそうなのであれば、その大きな大きな勘違いをそろそろ取っ払うべき時なのではないでしょうか?

 今は2014年です。介護保険が始まって10年以上経つのに、まだそんなイメージの中でちんたらやり続けるつもりでしょうか? ネガティブなイメージを克服する時代はもう終わりました。最初っからポジティブ思考全開でアグレッシブにクリエイティブに世の中を作っていきませんか?」

 業界を変える力は、その業界とは全く異なる世界の経験やセンスからもたらされることがある。岡さんのバックグランドはパンクミュージックやヒップホップであり、若い頃はクラブやライブハウスに入り浸りだったという。しかし母親をガンで亡くし、おじいさんが認知症になったことで、その後の人生を変えていった。介護の仕事に就き、音楽療法の世界に目覚め、今では様々なアートやエンターテイメントを用いて、介護・福祉業界を楽しく創造的に変えていく活動を展開している。

ダイアローグ・イン・ザ・ダークの金井さん(第3回)スワンの海津さん(第9回)、ウブドベの岡さん、みんな、福祉の現実を直視しながらも、そこに楽しさや潜在価値を見出し、引き出そうとしている。

 マイナスをプラスに捉えなおす「ポジティブ福祉」とでもいうべき新しいうねりが動き始めている。このうねりを生かすことができれば、日本は超高齢社会をより良く生きる斬新なモデルを世界に提示できるかもしれない。

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齊藤義明
[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

2030年のビジネスモデル

未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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