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世界を巻き込む。【エッセンシャル版】――日本のモノづくりで途上国のブルー・オーシャンをつかむために
【第1回】 2014年3月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]

なぜ日本企業は
「ハイスペック」なのに失敗するのか?
世界24億人以上のニーズをつかむための「第3の選択肢」

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「グローバルな舞台で戦える企業に」
「途上国で受け入れられる製品づくりを」
企業がグローバル展開、特に途上国を中心としたBOP市場にでていく必要性についての認識は広まってきた。しかし、途上国のマーケットについて、そのリアルな実態を理解している企業やビジネスパーソンはどのくらいいるのだろう。
いま、そうした途上国の「真のニーズ」を知っている、あるNPOが世界中から注目を集めている。その名は、コペルニク(Kopernik)。国連や世界銀行といった国際機関、マサチューセッツ工科大学(MIT)や慶応大学などの大学、パナソニックなどの伝統的なモノづくり企業から協業のオファーが殺到、世界中でともにプロジェクトを行っているグローバルな組織だ。
本連載では、マッキンゼー、国連を経てコペルニクを創業し、初の著書『世界を巻き込む。』を上梓したばかりの中村俊裕氏に、日本企業がグローバルに成功するためのエッセンスを聞いていく。第1回は、途上国に眠るリアルなニーズをヒントに、企業が取るべき新しい選択肢を紹介する。(構成:廣畑達也)

明かりがないと、貧乏になる!?
途上国が抱える根源的なニーズを正しく理解するには

中村「明かりがない暮らし」を想像できますか?

――明かり、ですか。以前停電があったときは、暗くて本当に不便でしたが……。

中村 日本のような先進国で聞くと、「明かりがない=暗くて不便」とイメージされる方が多いです。しかし、「暗くて不便」というのは、明かりの問題を考えるうえでは表面的な問題にすぎません。実は、明かりがない、ということは「経済的な損失」に直結します

――えっ!? 夜が暗いというだけで、貧乏になるんですか?

中村 少し乱暴ですが(笑)、そのとおりです。

僕たちコペルニクは、途上国の中でも「ラストマイル」と呼ばれる最果ての地域を「現場」として、「貧困削減」を目標に企業や国際機関、大学、そして現地のNGOとともに仕事をしています。こうした場所では、明かりがないことが「不便」だけではなくもっと深刻な問題につながってしまう、ということを直接目で見ることができます。

最近は日本企業の方々からも問い合わせをいただく機会が増えていますが、この「問題」を真摯に考えていただくと、途上国の貧困層が抱える本質的なニーズと、その大きな市場(マーケット)に至るアプローチの仕方を深く理解することができると思います。

――「明かりがない」という問題が、BOPビジネスを考えるためのヒントになると?

中村 それを理解するためにも、もうしばらくこちらから質問させてください(笑)

灯油価格は日本の2倍以上?
途上国の小さな明かりから見えてくる3つの問題

中村 このような途上国の中でも「田舎」といえる送電網が整っていない地域では、どうやって明かりをとっていると思いますか?

――うーん、電気もガスもないんですよね。それで明かりをとるには……もしかして、何かを直接燃やしているとか?

中村 惜しい。正解は、「灯油ランプ」。電気が通っていない村の人たちは、こんなふうに灯油を染み込ませた紐に火をともして、明かりをとっています。

途上国の村で使われている「灯油ランプ」

――小学校の時に理科の実験で使った、アルコールランプを思い出しました。

中村 たしかに! 彼らは、このようなランプを使って、炎を直接の光源にしています。このランプには、多くの問題とニーズについて考えるためのヒントがあります。ここから考えていきましょう。

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中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]

京都大学法学部卒業。英国ロンドン経済政治学院で比較政治学修士号取得。国連研究機関、マッキンゼー東京支社のマネジメントコンサルタントを経て、国連開発計画(UNDP)で、東ティモールやシエラレオネなどで途上国の開発支援業務に従事。アメリカ、スイスでの国連本部業務も経験し、ソマリア、ネパール、スリランカなど紛争国を主にカバーしていた。
2009年、国連在職中に米国でNPO法人コペルニクを設立。アジアやアフリカをはじめとする途上国の、援助の手すら届きにくい最貧層が暮らす地域(ラストマイル)へ、現地のニーズに即したシンプルなテクノロジーを使った製品・サービスを提供する活動を行い、貧困層の経済的自立を支援している。
2010年、2011年には、クリントン元米大統領が主催するクリントン・グローバル・イニシアティブで登壇。2011年にはテック・クランチが主催する「クランチーズ」で表彰。2012年、世界経済会議(ダボス会議)のヤング・グローバル・リーダーに選出された。また、テレビ東京系の「ガイアの夜明け」やNHKなどメディアへの露出も増加している。現在は大阪大学大学院国際公共政策研究科招聘准教授も務め、マサチューセッツ工科大学(MIT)、コロンビア大学、シンガポール大学、オックスフォード大学、東大、京大など世界の大学で講演も行っている。2012年、ダイヤモンド・オンラインに連載「世界を巻き込む途上国ビジネス」を寄稿。著書に、『世界を巻き込む。』がある。
☆中村氏twitterアカウント: toshikopernik
☆コペルニク・ジャパンfacebookページ: http://www.facebook.com/kopernikjapan


世界を巻き込む。【エッセンシャル版】――日本のモノづくりで途上国のブルー・オーシャンをつかむために

いま、あるNPOが世界中から注目と支持を集めている。
その名は、コペルニク(Kopernik)。
「モノづくりの新しい可能性を感じさせるテクノロジーを集めたNPO」
「誰もが納得できるかたちで寄付できるオンライン・マーケットプレイス」
「クラウドファンディングを活用したマッチングモデル」
「途上国の真のニーズを拾い上げることができる組織」
などなど、その多様な側面から、国連や世界銀行といった国際機関、マサチューセッツ工科大学(MIT)や慶応大学などの大学、スタンフォード大学発のベンチャー企業といった、世界をリードする企業、組織から協業のオファーが殺到、世界中でともにプロジェクトを行っている。また最近では、企業、なかでも途上国への進出で悩む伝統的なモノづくり企業からもアツい注目を集め、パナソニックをはじめとして、多くのプロジェクトが進む。

その団体を率いるのが、共同創設者兼CEOの中村俊裕氏。マッキンゼー、国連を経てニューヨーク、そしてインドネシアで起業したグローバルリーダーで、2013年にはダボス会議のヤング・グローバル・リーダーにも選出された人物だ。
本連載では、初の著書『世界を巻き込む。』を上梓した中村氏に、
・BOPビジネス:途上国の本当のニーズのつかみ方
・日本のモノづくりの可能性と、世界でその技術を活かすための条件
・企業とNPOが手を携えることで得られるメリットとは
・グローバルに活躍できる人材とは
などのテーマでそのエッセンスを語っていただいた。モノづくりに携わる人必見。

「世界を巻き込む。【エッセンシャル版】――日本のモノづくりで途上国のブルー・オーシャンをつかむために」

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