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自動運転からソーシャルまで
ネット企業が人工知能(AI)の技術者を奪い合う

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第287回】 2014年3月19日
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 今年1月、グーグルが人工知能(AI)関連のスタートアップ、「ディープマインド」を4億ドルで買収することが明らかになって、にわかにAIへの関心が高まってきた。だが、AIへの動きはグーグルだけでなく、フェイスブック、アップル、マイクロソフト、ヤフーなど、テクノロジーやインターネット会社が軒並み取り込んでいるものだ。

 ディープマインドは、幅広いAIの中でも「ディープラーニング」と言われる領域の研究を行っている会社だ。ディープラーニングは、人間の神経ネットワークのしくみを取り入れて、ヒエラルキーやコンテクスト(文脈)を機械が理解できるようにするもの。ディープマインドは、文脈の判断に画像認識に用いているとされる。

AI研究に並々ならぬ
意欲を見せるグーグル

 しかし、グーグルのAIとのつながりはこれに始まったものではない。

 昨年はAI研究者のレイ・カーツワイルをチーフエンジニアとして雇い入れた。カーツワイルは、これまで自分の会社以外で働いたことのない超未来志向の発明家で、近い将来にコンピュータが人間の知性を超え、魂まで持つようになると信じている人物だ。

 カーツワイルはそのビジョンをグーグル創業者のラリー・ペイジに話したというが、その結果、膨大なデータと膨大なコンピュータ処理能力を持つグーグル自身が、その実験台として身を差し出したというわけだ。

 グーグルは同じく昨年、カナダのDNNリサーチを買収。同社の共同創設者のジェフリー・ヒントンはトロント大学の教授で、ディープラーニングのパイオニアとも呼ばれる存在だ。ヒントン教授は現在、グーグルとトロント大学の教壇とで時間を折半している。

 フェイスブックも昨年、ディープラーニングの研究者を雇ってAIラボを作った。ソーシャルネットワークになぜAIが必要なのかと疑問を持ちそうになるが、ユーザーがアップロードする写真、書き込んでいる文章、そういったものから「ユーザーの人となり」を推し量って、さらなるサービスやビジネスにつなげるのが目的だろう。

 一般のユーザーにとってわかりやすいAIの利用は、音声認識機能も備えたバーチャルアシスタント、あるいはバーチャルエージェントだ。

 声だけで調べものができる地図や検索上での音声認識機能もあるが、たとえばアップルのSiriは、それ以上にユーザーの役に立つことを目指している。モバイル機器の中にある情報、ネット上の情報などを統合して、複雑な質問にも答えられるアシスタントだ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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