ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

株主優待はどこまで許されるのか

永沢 徹 [弁護士]
【第12回】 2008年1月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 年が変わり、個人投資家であれば株主優待が気になるシーズンとなった。

 そんな折、今週7日にリース会社のリコーリースが、ユニークな発表をした。「株主優待込みの配当利回りのお知らせ」というものである。

 本来、配当利回りというのは、「1株あたりの配当÷株価」で算出されるが、同社の場合は、株主優待を1株あたりに金額換算した上で、「(1株あたりの配当+株主優待額)÷株価」で、「株主優待込みの配当利回り」として計算している。

 この企業の株主優待は、クオ・カードか図書カードを渡す金券方式で、株の保有期間に応じて優待額が異なる。所有株数に関わらず一律給付で、保有期間1年未満の株主には3000円(1単元100株保有の株主の場合1株あたり30円)、1年以上3年未満は4000円(同40円)、3年以上は5000円(同50円)の金券が付与される。

 仮に優待が無い場合の年末の株価を基準とした配当利回りは1.31%だが、3年以上の長期保有者は優待込みの配当利回りで3.4%になる(100株保有株主の場合)、と会社自らがアナウンスした。

大口株主に不利な優待は
株主平等の原則に反する

 これにはいくつか問題がある。まず、保有期間に応じて差を設けている点だ。長期ホールドしてほしいという会社の願いはよくわかるが、保有期間の長い株主を優遇することに合理的な説明ができるのかどうか。これから先の保有に関する差ではなく、これまでの保有期間に応じて差を設けることの是非もあるだろう。

 もう1点は、大口の株主に対する差別の問題だ。同社の場合、持株数に関わらず株主に一律付与しており、小口に対して、大口の株主は不利となってしまう。上記の例でいえば、10万株を3年以上保有していても、100株の保有株主と同様の5000円の金券が付与されるのみであり、1株あたりでは0.05円にしかならず、「優待込みの配当利回り」は1.31%と、優待がない場合と殆ど変わらない。会社法109条1項では、「株式会社は、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」と規定しており、この「株主平等の原則」に反するのではないかという疑問が払拭されない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

100年に一度の経済危機に見舞われ、企業を取り巻く環境は大幅に悪化。“企業乱世”ともいえる激動時代の経済ニュースを、弁護士・永沢徹が法的な視点を加えながらわかりやすく解説する。

「弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く」

⇒バックナンバー一覧