ロールモデルはいない、血肉になったことを身につければいい

琴坂 科学者としてすでに体系的な分析を学んだ安宅さんにとって、(マッキンゼーで)師匠にあたるような人はいますか?

安宅 何人もいますよ、こってりした人が。大石佳能子さん、山梨広一さん、田中良直さん、宇田左近さん、上山信一さん、横山禎徳さん…そうそうたるメンバーがね。

琴坂 なるほど、まさに伝説的な方々ですね。どんなことを教わりましたか?

安宅 先ほど話したようなアプローチをがっちりやるのは、僕の特殊なスタイルです。でも、物事をディープに考えるということは、どの方々からも相当しっかりやられました。1人ひとりから何かを学んでいますね。

琴坂 ある経営者に「誰から学んできましたか?」と聞いたとき、「自分にはロールモデルはいない。ただ、多くの人間から学んできた」と言っていました。それは、コピー&ペーストではない、マッキンゼーにあるような、特殊な師弟関係に近いかもしれないと思います。

 ロールモデルと言ってしまうと、長所だけをコピーするような印象ですが、それだけではなく、短所を知ることも含めて、いろいろな影響を受けたと。それはとても健全な関係で、安宅さんもそうだと思いますけど、いろいろな人から影響を受けて、それがミックスされて自分がいるのだと思います。

安宅 そうそう、真に受けてない。自分がやってみて成功したことだけが身についていく。血肉になるときと、ならないときがあります。ならなければ仕方ないけど、だいたいなるんですよ。言われていることをしっかりやってみると。そこに個人的な味つけが大量に入っているのは事実ですね。

琴坂 芯になる部分なんですよね。私は安宅さんから、適当だった自分に対して、分析の軸、イシューの軸、本質の軸が足されたという感じです。少なくとも、その土壌をつくってもらったのだと思います。

安宅 素敵です(笑)。

脳神経科学者という異色の経歴を持ち、Yahoo! JAPANでCSOを務める安宅氏。業種・業態の領域を超える脳神経科学の知見によって、ビッグデータの本質が見えてくる。次回更新は、5月7日(水)を予定。


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