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今週のキーワード 真壁昭夫

あっという間に5000億円が流入
改めてNISAのうま味とリスクを分析する

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第322回】 2014年4月15日
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口座開設者数は320万人

 今年1月、個人投資家向けに、鳴り物入りで導入されたNISA(小額投資非課税口座)が好調だという。口座を開設した人の数は320万人を超え、その内、77万人が実際に口座を使って投資活動を行ったと報道されている。

 また、1月から3月までの投資資金の流入額は、既に5000億円を超えており、株式市場の下支え役を果たしているようだ。この時期、今までの買いの主体だった海外投資家は利益確定の売りを先行させたこともあり、NISA口座による個人投資家の資金流入が、わが国の株式市場の下支え役を果たしたという。

 NISAについては、正直言って「使い勝手の悪い仕組み」というのが率直な印象だ。この制度を一言でいうと、「2014年から毎年、少額の投資を行って、5年以内に得た配当や売買益には税金を掛けない」と考えれば分かりやすい。

 ただ、毎年の投資枠が100万円と限定されていることに加えて、毎年の非課税枠の期間も5年と決められている。5年経つと強制的に課税枠になってしまい、その時の価格は取得時の価格に関係なく、その時の時価に設定されることになる。それは、投資家にとってかなりの不都合だ。

 またNISA制度自体の期間が10年と定められており、発生した損失の繰り越しができないなどのデメリットもある。そうした制度上の使い勝手の悪さにもかかわらず、当初の予想を上回って投資資金が集まっている背景には、何と言っても、証券会社をはじめとする営業部隊の健闘があると見られる。ただ、営業努力があまり勝ちすぎる状況は、好ましくはないだろう。

NISAは一種の激変緩和措置

 元々、株式投資から得られる譲渡益と配当益に対する税率は20%であったのだが、2003年以降、株式市場の活性化を目指して、時限立法で10%の軽減税率が適用されてきた。

 ところが、わが国の財政立て直しや東日本震災復興財源などの観点から、2014年から軽減税率の廃止が決定され、税率が当初の20%に引き上げられることが決まった。つまり、株式投資に係る増税が実施されることになった。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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