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企業小説 黒字化せよ! 出向社長最後の勝負
【第1回】 2014年5月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
猿谷雅治

【プロローグから第1章までを公開!】
突然の出向辞令。
万年赤字会社を黒字化せよ!

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万年赤字会社はなぜ10カ月で生まれ変わったのか? 実話をもとにした迫真の企業小説『黒字化せよ! 出向社長最後の勝負』の出版を記念して、プロローグと第1章を順次公開する。

プロローグ(前編)
出向内示 ──黒字化せよ、さもなくば清算だ

 「リーン……」
 デスクの電話が鳴った。横浜工場設備改善計画案に目をとおしていた沢井は、左手をのばして受話器をとった。秘書室の女性の声が流れてきた。

 「秘書室でございますが、沢井部長はおいでになりますか」
  「ああ、沢井ですが、何か……」
  「あ、失礼しました。社長がお呼びです。お手すきでしたら社長のお部屋へおいでいただきたい、と……」
  「わかりました。すぐうかがいます」

 沢井は書類を伏せて、立ち上がった。まくっていたワイシャツの袖を下ろして、背後のロッカーから上衣を取り出す。
 半開きにしたブラインドをとおして、窓の外のお堀をへだてた皇居の緑が鮮やかだ。丸の内のお堀端にあるこのビルの9、10、11階を沢井の勤務している会社が占めている。大東金属株式会社。資本金126億円、社員数2200名。金属の素材メーカーだが、積極的に多角化戦略を推進して、関係会社も50社を超えている。沢井正敏は多角化部門の一つである建材事業部の業務部長として、建材事業全体の参謀長の立場で腕をふるっている。近くのデスクで書類を書いている秋川課長に、
「ちょっと、社長のところへ……」
 とひとことことわり、秋川や部下たちの視線を背中に感じながら部屋を出た。

 6月下旬の株主総会を1か月余り後に控えた5月中旬、大東金属では取締役選解任の内定が行なわれる。この人事に関連して部長級の一部の人事異動が7月1日付で行なわれ、その内示がこの時期に社長から本人に申し渡されることになっていた。例年、ゴールデンウィークの休みが明けると、この高級人事に関する憶測が社員たちの間に流れる。

 沢井は取締役候補の一人として噂されていた。その噂は沢井の耳にも入っていたし、沢井自身も自分の業績から今年の取締役就任を期待していた。
 ドアをノックして、
  「入ります」
 と声をかけて、沢井は社長室へ入った。

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猿谷雅治 

 

さるや・まさはる。1952年東京大学経済学部卒業。住友金属鉱山(株)入社。経理、人事、組織、社長室のほか、事業部総務部長、関係会社出向などを経て1981年取締役就任。1984年常務取締役企画管理本部長。1993年富士短期大学教授。1996年富士短期大学副学長を経て富士短期大学経営研究所教授。1998年没。1964年、「目標による管理」を導入、実施して会社の業績向上に大いに寄与。人間を尊重する目標による管理の思想を中軸として、新しい経営管理論、組織論、リーダーシップ論などの実務への展開に力を注ぐ。主要著書に『目標設定による管理体制』『目標管理の要点』『目標管理の考え方』『創造的リーダーシップ』『仕事と目標と生きがい』などがある。

 


企業小説 黒字化せよ! 出向社長最後の勝負

実話をもとにした迫真の企業再生ストーリー。大会社で役員目前だった沢井は、ある日突然、万年赤字子会社への出向を命じられる。辞令にショックを受けつつも、沢井は1年以内に黒字化することを決意。しかし、新しく人を雇ったり機械や設備を導入する予算はない。今ある人材、設備で黒字化するには社員の意識を変えるよりほかにない。そこで沢井が講じた施策とは…?プロローグと第1章を公開。

「企業小説 黒字化せよ! 出向社長最後の勝負」

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