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田中秀征 政権ウォッチ

集団的自衛権は必要か?(2)

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第232回】 2014年5月8日
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 私は、現在安倍晋三首相が強行しようとしている「政府の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使」に強く反対している。

 その変更内容はもちろんだが、手続き(解釈改憲)にも同調できない。ひょっとするとこれは大きな歴史的間違いにもなりかねないと危惧している。

 集団的自衛権の行使(A)を解釈改憲(B)によって、この時期(C)に決めることは三重の過ちを犯すことになる。

 まず、私が集団的自衛権の行使に反対する主な理由を列挙すると次のようになる。

日米の軍事的一体化で
わが国の独立性は急速に減衰

①日米の軍事的な一体化が急速に進み、わが国の独立性、自主性が大きく棄損する。

 外務省からはときどき「日米関係が米英関係のようになればよい」という声が聞こえてくる。

 しかし、日米関係が米英関係のようになることは決してあり得ない。

 私がしばしば連想するのは、米国の運転する車の助手席に英国が乗ったときのこと。

 助手席からは運転手に行き先や運転法にうるさいほど注文が出る。運転手がそれを軽視するとさっさと車を降りてしまう。それが英国だ。したがって助手席の英国の自由な選択権を熟知している米国は最大限その意向に沿うように運転する。

 ところが、日本は運転手の言いなり。忠告を無視されても車を降りるようなことをせず、「これで良いのかな」とつぶやきながら運転手に身を委ねる。それが日本である。

 英国は米国にとって言わば本家と分家の関係。一方の日本は敗戦国。広大な基地も提供してきた。特に、戦後の占領時代から身に付いた従順さを変えようとしても至難の業だ。

 米国は開戦の決定権を独占し、日本の役割分担を米国が決める。戦争、戦闘の指揮権も決して手放さない。

 結局のところ、日本の従属関係が強まるだけである。

 ひとたび軍事的に一体化すると半永久的にそれが固定されることが歴史の常である。すなわち、軍事的な一体化は日本の国家としての独立性を急速に衰えさせていくのだ。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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