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安東泰志の真・金融立国論

6月にも発表される新成長戦略は
投資家目線で策定せよ

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第45回】 2014年5月12日
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安倍政権の新たな成長戦略が、来月にも発表されようとしている。成長戦略と言えば、法人税の引き下げ、医薬品のネット販売解禁、女性の活用、雇用・労働分野の規制改革など、個別の政策が脚光を浴びがちである。もちろん、これらの改革はどれを取っても重要であり、これらに加えて、教育改革や農業の6次産業化など、個別の政策は国家戦略特区でその一部からでも実施に移されることが望ましい。

ただ、法人税の引き下げを除けば、それらの効果は漢方薬のようなものであり、企業を活性化して日本経済を一気に浮揚させるようなものとは言い難い。特に、もし安倍政権が、世界の投資家に、引き続き「バイ・マイ・アベノミクス」と言い、日本企業の株を積極的に保有してもらい、株価を維持向上させることを望むのであれば、成長戦略の視点は、すべからく投資家の目線に立っていなければならない。

「5本の矢」は相互に関連している

 筆者は連載第32回にて、「成長戦略に必要な5本の矢とは」と題して、一貫性のある政策連携によって、企業の活力を上げることによる成長戦略が必要であることを論じると共に、自民党の日本経済再生本部等でも同様の説明をした。

 それから1年余の間に、筆者が提言した政策のほとんどに手がつけられ、一部は実現している。マスコミは派手に取り上げないが、投資家から見た場合、これらの施策こそが成長戦略の本丸であることに疑いの余地はない。本稿では、筆者が提言し、その後実現したことと、未だ実現していないことを整理した上で、6月の成長戦略に盛り込まれることが期待される事項を述べてみたい。

 筆者が連載第32回で示した「5本の矢」は、図の中で赤く囲んだ施策である。5本の矢の特徴は、すべての政策が投資家の目線に立って考えられていることである。すなわち、企業はコーポレートガバナンスを強化し、投資家は議決権行使等を通じてそれを監視する。

(注)ニューホライズン キャピタル作成

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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