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首相失職で混迷深めるタイ
根深い“政治とカネ”の問題

川端隆史・SMBC日興証券エコノミスト(ASEAN担当)
2014年5月28日
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タイの政治混乱が長引いている。5月7日には、インラック首相が過去の公務員人事への関与で違憲判決を受け失職、混乱に拍車が掛かっている。(川端隆史・SMBC日興証券エコノミスト〈ASEAN担当〉)

失職したインラック首相
Photo:AFP/JIJI

 「インラック首相は今までよくやってきたのに、突然パンドラの箱を開けてしまった」

 タイの政局が流動化する直前の2013年11月、バンコクで面会した政治アナリストは筆者にそう語った。

 政局流動化の引き金は恩赦法案だった。これが成立すれば、事実上の海外追放状態にあるタクシン元首相は帰国できることになる。反タクシン派の野党民主党と人民民主改革委員会(PDRC)は法案に強く反発し、インラック首相は法案撤回に追い込まれた。PDRCによるデモが勢いを増す中、下院が解散され14年2月に総選挙が行われた。

 しかし、PDRCが投票妨害をしたために手続き的な問題が生じ、憲法裁判所は無効と判断してやり直しを命じた。さらに憲法裁は5月、インラック内閣が11年に行った政府高官人事は親族登用であり、利益誘導を禁じる憲法規定に違反しているとの判決を下し、首相が失職する事態となった。

 政情混乱による影響が足元で目立つのは、国家予算と外国直接投資(FDI)である。昨年12月の下院解散後に総選挙が円滑に実施されていないため、大規模予算の執行と編成権限を持たない選挙管理内閣が長期化し、公共投資に支障が生じている。

 1~3月期のFDI額は前年比28%増と好調だったが、第二エコカー政策の締め切り前の駆け込み投資という特殊事情があり、4~6月期は低調が予想される。タイにとって最大の投資国の日本からも1~3月期は同45%減と大幅に減少した。

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