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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

自動運転車は故意に人をはねることが許されるか?
「ロボットと法」の議論を急げ

――週刊ダイヤモンド6月14日号特集「ロボット・AI革命」より特別公開

週刊ダイヤモンド編集部
2014年6月10日
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 今では想像もできない話だが、19世紀の英国では、自動車は人間より速く走ってはいけなかった。

 1865年に施行された「赤旗法」は、当時普及し始めた蒸気自動車の走行を規制するもので、安全や道路の保全のため、郊外では時速4マイル(6.4キロメートル)、市内では2マイル(3.2キロメートル)に速度を制限されていた。しかも歩行者や馬を驚かせないよう、赤い旗を持った人間が常に蒸気自動車を先導し、注意喚起をしなければならなかった。

19世紀の英国では赤旗を持った人間がノロノロ運転の蒸気自動車を先導して歩いた

 自動車という新しい技術を敵対視したこの“悪法”のおかげで、英国での蒸気自動車の製造は他国に後れを取り、1896年に同法が廃止され、ガソリン車の時代になってもその影響は続いた。

 新産業の創出において、法整備というものはかように重要な鍵を握る。当時の英国は、来る自動車産業の到来を見越し、インフラや交通ルールを変えることができなかった。イノベーションの機会を自ら奪ったのである。

 「米国はグーグルに代表されるように、『まだルールがないなら、とりあえず始めてしまえ』という文化であるのに対し、日本の大企業は逆に新産業の芽を見つけても、役所にお伺いを立ててからでないと始めない」と、大阪工業大学の本田幸夫・工学部ロボット工学科教授は指摘する。実際に過去、始めた後に規制がかけられハシゴを外された経験がそうさせた面もあるのだろうが、その発想はあまりに消極的に過ぎる。

 だが、むしろそうした文化を逆用することも考えるべきかもしれない。「産業化を促すには、規制緩和より、規制を強化する方がいいのではないか。つまり、『もっとロボットを使いなさい』ということ。そのためのルール、規制を作っていくことが、イノベーションを促し、社会を変える原動力になる」(本田教授)。

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