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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

トップアスリートは、
国旗だけでなく「社会」を背負って戦う時代へ。
W杯反対運動に見る、スポーツイベントの新たな役割

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第113回】 2014年6月10日
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 「2014 FIFAワールドカップ」(ブラジル大会)がまもなく開幕する。普段はサッカーに関心がない人も、ちょっと浮き足立っているのではないだろか。なにしろ(意外に思うだろうが)、日本人は世界で最もW杯好きの国民なのだ。もちろん、サッカー好きということで言えば、特にヨーロッパや南米には、どう考えても日本人よりサッカー好きの国民はたくさんいる。しかし、ことW杯に関しては、実は日本人が(ある意味で)最も盛り上がっているのだ。その理由は、テレビ中継の視聴時間だ。

 FIFAの資料によれば、2010年の前大会(南アフリカ大会)でW杯中継を連続20分以上見ていた人の、その国の人口に対する割合は、日本が80%強でトップ。以下、スペイン、アルゼンチン、ブラジル、ドイツ、イタリア、イギリスと続く。このあたりの国では、おおむね70%から80%の人たちがW杯を見ている。一方でW杯を見ていないのはたとえばアメリカ人、中国人などで、アメリカ人は30%弱、中国人は20%くらいしか見ていない。テレビ普及率の影響も大きいとは思うが、インド人はほとんどW杯を見ていない。この資料には、韓国のデータが掲載されていないのが気になるが、日本人が世界で最もW杯を見ているのは事実のようである。

サッカー王国ブラジルで起きた
W杯反対運動

 というわけで、6月13日朝の3時(日本時間)の開会式以降、約1ヵ月にわたって日本中が熱狂と寝不足に巻き込まれること必至なのであるが、今回の大会ではいつものように、素直にお祭り騒ぎを楽しめない空気感も漂ってきている。貧困や生活インフラ、教育インフラの未整備に対する抗議デモ、そして低所得者層の賃上げ要求のストライキなど、社会矛盾の表出である。

 もちろん、国際的に大きなイベントがその陰で、さまざまな社会矛盾を孕んでいるという実情は、このW杯ブラジル大会だけではない。前回W杯を開催した南アフリカや、2008年のオリンピックを開催した中国、そしてかつての韓国や日本。急成長した会社がすぐに本社ビルを建てたがるように、急成長した国もまたすぐに国際的なスポーツイベントを開催する。そして、スタジアムをバンバン建てまくる。

 その工事の騒音に、社会的矛盾に苦しむ人たちの嘆きはかき消される。そして、ホームレスやギャングなどの社会的矛盾を象徴する「あってはならない人たち」が、国際イベントの開催とともにストリートからかき消され、「なかったこと」にされてしまうように、そのイベントを楽しむ観客もメディアも、社会的矛盾やそのために苦しむ人たちを「なかったこと」にしてしまう。それがこれまでの国際的なスポーツイベントだった。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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