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これからの日本ブランドの30年にむけて

なぜ日本企業の海外M&Aや複数ブランド管理はうまくいかないのか?――“ブランドストーリー発想”によるマネジメントのすすめ

薄 阿佐子、畠山寛光、林 隆一、村松友希
【第4回】 2014年6月20日
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効果を引き出せない
日本企業の海外企業M&A

 生き残りをかけ、海外M&Aに積極的に取り組む「日本ブランド」の存在が顕在化している。特に2013年は、ソフトバンクによる米携帯電話3位スプリント・ネクステル社の買収(約1兆8000億円)に代表される大型買収が相次いだ。LIXILグループが約4100億円で欧州最大規模を誇る高級水栓金具製造・販売のグローエを、MUFGが約5300億円でタイのアユタヤ銀行を買収したのも記憶に新しいところだ。2013年末時点の日本企業の海外直接投資の残高は、前年末比31%アップの117兆7260億円に上っている。

 円安が進み、買収コストが高まっているにもかかわらず、2014年に入っても海外展開への積極的な経営姿勢は衰えを見せておらず、サントリーホールディングスによる蒸留酒最大手のビーム社の買収や、ミツカンホールディングスによる、ユニリーバからのパスタソース事業買収など、積極的な海外M&Aが続いている。

 M&Aを検討する理由として、新市場・新分野への参入、人材や技術の確保、競争力の強化などが挙げられるが、M&Aを実施した企業がすべて、そのメリットを享受できるわけではない。むしろ買収はしてはみたものの、事業間の連携がなかなか進まず、想定した相乗効果を得られないケースも多く見受けられる。1+1が2にさえ至らない、所謂コングロマリット・ディスカウントに陥っている「日本ブランド」は少なくないのである。

 インターブランドでは、その要因のひとつに「ブランドポートフォリオのマネジメント」という視点の欠落があると考えている。短期的な財務メリットのみを追い求めるが故に、長期的な成長の源泉となるブランドとしての考え方や価値観の共有をおざなりにすれば、優良企業同士であってもシナジー効果は発揮されない。

 ブランドマネジメントの観点から言えば、M&Aはディールが完了すれば終わりではなく、むしろスタート地点に過ぎない。その後に、事業やブランドを統合し、いかにシナジー効果を発揮する事業体、ビジネスモデルに変革することができるかが、経営者としての腕の見せどころなのである。

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 日本経済は世界第3位の規模を誇るものの、「グローバル」における「日本ブランド」のプレゼンスはその経済規模に見合ったものになっているとは言い難い。世界と伍して戦える“強いグローバルブランド”の存在なくして、少子高齢化が加速するこの国の未来はない。
 2020年の夏季五輪大会の東京招致成功は、日本全体が長期的な視点で物事を考え、改革を進める機運をもたらした。私たちはこの機会を逃すことなく、2020年を通過点と捉え、さらにその先を見据えた日本企業のブランドの姿を考えなければならい。
 インターブランドジャパンは設立30年を契機とし、これからの日本の“30年”にむけ、 “強いグローバルブランド”確立のために、「日本ブランド」が今取り組まなければならないことは何か、長期的な視点から、多面的な提言を行う。
 

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