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シェア日本一!のニッチな企業

管楽器の金属めっきで圧倒的No.1
日本電鍍工業

森野 進 [経済ジャーナリスト]
【第6回】 2009年6月22日
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時計で培った高品質なめっき技術

 自社製のめっき液を多種類揃え、難しい厚めっきをむらなくこなす。管楽器へのめっきは一部楽器メーカーの内製を除くと、製品の国産比率が高いサクソフォン、フルートで推定95%以上のシェアを持つ。

 日本電鍍工業は創業から50年の歴史を持つ金属めっき加工の老舗企業。金やプラチナなどの貴金属めっきが得意で、時計をはじめ管楽器、電子部品、宝飾品、医療機器など幅広い分野のめっき加工を手がける。

 1990年代まで売上の約9割は時計部品によるものだったという。しかし、同分野の需要の冷え込みをきっかけに、2000年代に入ると現在の業態に路線変更した。それまでの時計一本というこだわりを捨て、時計で培った高品質なめっき技術をコアコンピタンスとして、他の分野で生かす道を選択したのである。この方針が的中。現在ではさまざまな分野で取り扱いボリュームが拡大し、大きく飛躍を遂げつつある。

 その代表例がフルートやサクソフォンなど管楽器のめっき。フルートの場合は国内に15社ほどの楽器メーカーが存在するが、日本電鍍工業はそれらのすべてのメーカーと取引を持つ。「楽器の種類や用途によってめっきを内製するメーカーもあるので、総量を把握することは難しいですが、めっき会社による外製市場に限定すれば、国内シェアは95%以上あると推定されます」(同社)

 多くのめっき会社が市販のめっき液を使用しているのに対して、金やプラチナなどを中心に自社製のめっき液を多数揃えていることが強みだ。ひとくちに金めっきといっても、鉄や銅、亜鉛などさまざまな金属の合金が使われ、これらの金属の配合率によって色調をはじめ強度や耐食性などの機能が著しく変わってくる。市販のめっき液はすべての含有成分を公表しているわけではないので、めっき後の状態が不安定になりやすいが、自前のめっき液を使うことで成分を正確に把握でき、再現性がきわめて高いという。

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森野進 [経済ジャーナリスト]

日刊工業新聞社の記者、雑誌編集者を経て独立。中堅・中小企業の取材をライフワークとして活躍。著書に『女性発明家の着想に学ぶ』(発明協会)、『未公開ITベンチャーの躍動』(共著・オーム社)、『明日のものづくり』(共著・日経BP社)などがある。


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