部下との信頼関係の築き方には、いろいろ方法があります。ここではまずコミュニケーション密度を高めて信頼関係を築く方法についてお話ししましょう。

 部下――特に今の若手は、成果主義の影響で強い成長願望を持っています。ですから、いくら上司の言い付けであっても、「自分の成長に結びつかない」と思えば、なかなか動こうとしません。「いつかは転職するかも」という思いすら頭にあるため、「上司のいうことを無理に聞かねばならない」という意識は以前より薄まっているのです。

 そこで、今どきの上司と部下を結びつけるもの、それが前回触れた“信頼関係”ということになるのですが、これは一朝一夕に築けるものではありません。

 部下と信頼関係を築くには共通認識が必要となり、それには何よりも普段からコミュニケーション密度を高めるよう心掛けなければなりません。

 密度を高めるには、接する機会を増やすのは当然のこととして、それなりの仕掛けが必要になってきます。そこで有効なのが、「上司から働きかける」「雑談を大切にする」「仕事モード以外の場を利用する」の3つです。

第一歩は「上司から働きかける」

 1つめの「上司から働きかける」は、部下とのコミュニケーションの基本です。中でも若手は年の離れた上司にどう話しかけるべきか躊躇してしまうことが多いものです。あいさつ一つするにもドキドキしています。

 そんなとき、上司が「あいさつは部下からするものだ」という態度で知らんぷりを決め込んでいると、部下は自分が無視されているかのように感じ、必要以上に萎縮して心を閉ざしてしまいます。

 「あいさつは部下からするもの」という上司の気持ちもわかりますが、小さなこだわりは捨てましょう。出退社時には上司から声を掛けて、部下が上司とのコミュニケーションを受け入れるベースを作ってあげましょう。あいさつ程度のささいな行き違いが、上司と部下の間に溝を作っていることもあるのです。