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次世代の国づくり・再成長への「道」を拓く

【農業分野(1)】
参入の規制緩和によって生まれる
新たなビジネスの形とは
――日本総合研究所主任研究員 三輪泰史

三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]
【第1回】 2014年7月14日
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政府が6月に発表した「成長戦略」では、「岩盤」の一つと言われる農業にも踏み込んだ。ここでは農業分野の規制緩和のうち「企業による農業生産法人への出資規制緩和」を取り上げる。今回の規制改革によって、企業が農業に参入しやすい状況はかなり整ったと評価できるが、農業が活性化するかどうかは、農村地域・企業双方の意識改革がカギを握っている。

風穴が空いた農業の岩盤規制

みわ・やすふみ
東大農学部卒、東大大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。現在、日本総合研究所創発戦略センター主任研究員、農業チームリーダー。農産物のブランド化に関するベンチャー企業の立上げに参画。主な著書に『グローバル農業ビジネス』、『次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。

 アベノミクスの第三の矢の一貫として、「新たな成長戦略」と「骨太の方針」が発表された。成長分野の一つとして位置付けられている農業においては、「企業による農業生産法人への出資規制緩和」や「JA全中の自律的新制度への移行」が注目を集めている。今回はまず農業生産法人の規制緩和に焦点を当てる。

 日本農業は長期間にわたり衰退傾向が続いてきた。農業産出額は10兆円を大きく割り込み、8兆円台にまで減少し、農業が基幹産業である地域では活力が削がれてしまっている。農業衰退の象徴的な減少として、離農者の増加と耕作放棄地の増加が挙げられる。

 離農者の増加により、販売農家数は1990年の半数程度にまで急速に減少している。儲からない農業では後継者の確保が難しく、農業の担い手不足が深刻化している。今後の農業生産の維持、回復のためには、若年層を中心とした新規就農増加が不可欠である。新規就農者が始めから単独で農業を始めるのは難しいため、農業法人や農業参入企業が新規就農者の受け皿になることが期待されている。

 また、離農者増加に伴い、耕作放棄地面積が増加しており、それは滋賀県の面積と同程度の39.6万haとなっている。特に、土地持ち非農家(農業を行わない農地の所有者。遺産相続等で農地所有しているケースが多い)での増加が顕著で、この20年間でおよそ3倍となっている。 このような厳しい環境の中、新規就農者と農地の受け皿となる新たな中核プレイヤーとして、政府は農業法人や農業参入企業を大幅に増やそうとしており、経済界の農業参入に対する注目度が高まっている。

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三輪泰史 [日本総合研究所創発戦略センター主任研究員]

(みわ・やすふみ)東京大学農学部国際開発農学専修卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修了。現在、株式会社日本総合研究所創発戦略センター主任研究員、グローバル農業チームリーダー。農産物のブランド化に関するベンチャー企業の立上げに参画。主な著書に『グローバル農業ビジネス』、『次世代農業ビジネス』(以上、日刊工業新聞社)、『甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う』(学陽書房)ほか。


次世代の国づくり・再成長への「道」を拓く

6月下旬、政府は昨年に続き成長戦略の第2弾を発表した。散々な評価だった昨年を意識してか、今回は女性活用のほか、いわゆる「岩盤」と呼ばれる雇用や農業、医療分野の規制に切り込み、持続的成長を目指している。長年にわたって変えよう、変えるべき、と言われつつも、なかなか打ち破れなかった壁は、今回の成長戦略によってついに突破することができるのか。本連載では、規制改革会議委員である翁百合氏や、労働雇用問題が専門の山田久氏など、それぞれの分野の第一線で活躍する5人の日本総研研究員が、現状の問題点を挙げたうえで、成長戦略における改革の狙いを解説し、改革の実行案を提案する。

「次世代の国づくり・再成長への「道」を拓く」

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