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田中均の「世界を見る眼」

日中・日韓関係はなぜこれほどまでに悪化したか?
語られることのなかった「悪循環を止める方法」

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第34回】 2014年7月16日
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中韓、米中、米韓関係緊密化の一方
際立って悪化した日中、日韓関係

 ここ数年、日中、日韓の関係はどんどん悪化している。二国間首脳協議だけではなく、政府間では何ら建設的な協議は行われている気配がなく、むしろ双方の批判合戦のみが目につく。

 言論NPOが公表した昨年8月の日中共同世論調査によると、日本人、中国人の相手国に対する「良くない印象」は、いずれも9割を超えている。また、今月発表された日韓共同世論調査では、日本人の韓国に対する「良くない印象」は54.4%、韓国人の日本に対する同印象は70.9%であった。

 このようなデータに示される「国民感情」の下では、関係改善を語ることも難しく、日中、日韓関係を一層停滞させていく悪循環を生んでいる。今月10日、韓国では自衛隊記念日のレセプションが、国民感情を理由に開催予定ホテルによってキャンセルされたほか、他の展示会も同様の理由で中止を余儀なくされている。

 中国では、人民日報は今月7日から連日、戦時中の蛮行について旧日本軍戦犯の供述書を掲載し、反日感情を煽っている。

 従来は、日本にとっても中国や韓国にとっても、相互の関係は致命的に重要と考えられ、二国間関係が悪くなると、何とか改善していこうとする力が働いた。今はそのような雰囲気がほとんど感じられないどころか、むしろ双方で「わが道を行く。関係が悪くなっても止むを得ない」という、突き放した意識が強く働いているように見受けられる。

 一方、中国と韓国の関係は飛躍的に強化されている。韓国にとって中国は最大の貿易パートナーとなり、国民の意識も最近の世論調査では、日本より中国を近く感じる向きが強い。7月3、4日に習近平中国国家主席は、同盟関係にある北朝鮮に先んじて韓国を訪問した。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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