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30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由
【第3回】 2014年7月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
杉本宏之 [起業家]

第2章 暗雲――「傲り」を象徴する出来事が
僕を蝕み始めていた【その3】
「天気も金融市場も思い通りには動かない」

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ゼロから起業し、エスグラントは上場を果たしものの、リーマンショックにより全財産を失い破綻、その後再びゼロから起業、成功させた若き経営者が心に刻んだ教訓を綴った『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』の出版を記念して、第2章を順次公開。上場を果たしてまさに人生の絶頂にあった著者の視界に暗雲が漂い始めます。第3回はリーマンショック前夜の金融業界。

天気も金融市場も
思い通りには動かない

 ただ、個人的に気になる「警告」は耳にしていた。サブプライム危機が報じられる前、まだ桜の花びらが歩道の傍らに散り残っている頃だった。ファイナンシャルのブレーンであり、親しくしていた投資銀行の友人が「会社を辞める」と訪ねてきた。

 「ヘッドハンティングでもされました?」
 社交辞令にも似た私の言葉にも、彼は硬い表情のままだった。
「次の仕事は、金融とは少し距離を置きます」

 意外だった。
「どうして?」
「杉本さん、サブプライムローンは知ってますか?」
「ええ、もちろん。アメリカの低所得者向けローンでしょ」
「そうです。あれは、はっきりいって乱脈融資です。誰もまともに審査なんてしていない。銀行はローンを証券化して売り抜ければいいと考えている」

 「ああ、そうらしいね」
「あり得ないですよ。結局、責任を取らされるのは証券化された債権を買った機関投資家だ。そこに流れる金のなかには、アメリカのサラリーマンや公務員が30年働いて稼いだ血と汗と涙が詰まった金だってある。いいですか、杉本さん。2年以内に世界的な金融危機が起こると私は予想しています。それをわかったうえで、自分が納得できない金融商品を売り続ける今の仕事を、もう続けることはできません」
「そこまで事態は深刻なんですか……」

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杉本宏之(すぎもと・ひろゆき) [起業家]

1977年生まれ。高校卒業後、住宅販売会社に就職、22歳でトップ営業となる。2001年に退社し、24歳でエスグラントコーポレーションを設立。ワンルームマンションの分譲事業を皮切りに事業を拡大し、総合不動産企業に成長させる。2005年不動産業界史上最年少で上場を果たす。2008年のリーマンショックで業績が悪化、2009年に民事再生を申請、自己破産。その後再起し、エスグラントに匹敵する規模にグループを育て上げた。

 


30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由

業界の風雲児として急成長企業を育て、最年少上場記録を打ち立て、最高益を叩きだした矢先、リーマンショックで巨額負債を抱え破たん。どん底から再起動へと歩む起業家は、失敗から何を教訓とし、迷惑をかけながら支えてくれた人々に何を伝えるのか? 本連載では、『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』の一部を順次掲載していきます。

「30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由」

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