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夏本番、うな丼を食す前に考える
レッドリスト入りしたウナギの生態と神秘
――ロンドン動物学会マシュー・ゴロック博士に聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
2014年7月30日
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土用の丑の日だった昨日、読者のみなさんは例年同様にウナギを召し上がっただろうか。近年は中国産などの台頭によって価格が下がり、盛夏のみならず、1年中ウナギを安価で食べられるようになった。しかし、一方で乱獲や海洋環境の変化などによって、ウナギの数は激減。今年6月には、とうとう国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギをレッドリスト(絶滅危惧種)に指定したとのニュースも記憶に新しい。IUCNのウナギ専門家で、ロンドン動物学会のマシュー・ゴロック博士に、レッドリスト入りをわれわれ日本人がどう考えればいいのか、話を伺った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子) 

「レッドリスト」はすぐさま
絶滅を意味するわけではない

――世界のウナギの7割を食べていると言われるほど、われわれ日本人はウナギが大好物です。今回、日本に視察にきて養殖場などを見たと聞きましたが、彼らの反応はどうでしたか?

マシュー・ゴロック
国際自然保護連合(IUCN)ウナギ調査委員会議長。ロンドン動物学会博士。今年6月にレッドリスト入りしたニホンウナギの評価作業をコーディネートした。 Photo By Toshiaki usami

 今回の訪日の目的は、レッドリスト入りという評価が本当に正しいのかどうかを検証したかったのと、日本の状況を理解し、漁業関係者や行政、外食産業や小売業といったさまざまなステイクホルダーの人たちと意見交換をしたかったからです。というのも、われわれ科学者は科学的観点でしか、ものを見ないきらいがあるからです。またウナギといってもたくさんの種類があり、私自身はニホンウナギの専門家ではないので、たくさんの情報が欲しかったということもあります。

 岡山県や静岡県の漁業者や環境省の関係者など、多くの方と意見交換をさせてもらいましたが、レッドリスト入りについては、「やはり」という反応で、驚いている人はいないという印象です。

――そもそも、どんな調査を経てレッドリスト入りになったのでしょう。

 「レッドリスト」は、すぐさま絶滅を意味するわけではありません。「絶滅」から「軽度懸念」まで7レンジあり、また「情報不足」という評価カテゴリーもあります。ニホンウナギは今回、「近い将来における、野生での絶滅の危険性が高い」という「絶滅危惧ⅠB類」に指定されました。

 評価は、個体数や生息分布、そして脅威のレベルなど、さまざまな科学的データに基づきます。ニホンウナギは30年間で50~80%、漁獲量が減少しました。漁獲量が減ったということは、資源量も減ったと推定されます。情報は多ければ多いほど、正確な評価ができますから、これからニホンウナギについて、さらに多くのデータを収集していく必要があると考えています。

 また、レッドリスト入りは多くの科学者の手によるものです。私はコーディネーターとして参加しましたが、16人が世界のウナギ13種についてアセスメント(評価)をし、その評価を取りまとめた後、専門家のレビューを仰ぎました。評価のための組織作りからカウントすると、2年以上をかけて、とても慎重に行ったということは、ぜひ知っておいていただきたいです。

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