自己肯定よりも大切な
「自分を受け入れる勇気」
岸見 アドラーは「誰でもなんでも成し遂げることができる」ということを言っているんですよ。多くの人は無理だとはじめから思ってしまうから、成し遂げることができないだけで。でも、たとえ失敗したとしても、やらないよりやったほうがベターですね。
堀江 失敗自体が経験になりますからね。失敗したら次にやるときは仕組みがわかっているので、何度も失敗して成功のスパイラルに入る人もいる。ブックオフの創業者・坂本孝さんも成功するまでは、いろんな事業を失敗しているんです。結局ブックオフも内紛のような形で追われて、今は「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」でまた成功しています。
岸見 アドラーは「失敗することの勇気」という言い方をしているんですけど、もう一つ、「失敗したことが人前で明らかになることを恐れない勇気」があると言うんです。
堀江 他人にとっての自分なんて実は取るに足らない存在で、家族や恋人ですらも大して自分(僕)のことを考えていないものということは、経験上、理解できるようになりました。
古賀 『嫌われる勇気』でも、「過剰な自意識が、自分にブレーキをかける」と指摘されています。
堀江 僕は潰れた会社のブランドを買って、それを再生するということをよくやるんです。一番有名なのは「ライブドア」。ライブドアって、一度は潰れた会社なんですよ。それを自分たちの会社の名前にするという、かなりトリッキーなことをした。普通は自分の会社名に愛着を持って、それを大事にするでしょう。それを潰れた会社を買ってそっちの名前に変えたもんだから、こいつはなんなんだと話題になりました。でも、僕は会社が潰れたという事実を誰がどれだけ覚えているんだとも思うんです。
古賀 なるほど。
堀江 たとえばJALは一度倒産しましたが、JALがそうなったことを覚えている人がどれだけいるのか。質問すれば「そういえば」ってことになるかもしれないけど、せいぜいそんなもんですよね、人の記憶なんて。だから、「君が失敗したことなんて、誰も覚えていない」と僕は言いたい。
古賀 本当にその通りですね。