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勃発から100年、あの第一次世界大戦は昔話か?
時を経て蘇るナショナリズムと多極化の世界リスク

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第338回】 2014年8月12日
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 1914年6月28日、現在のボスニア・ヘルツェゴビナの首都であるサラエボで、当時のオーストリア=ハンガリー二重帝国の皇太子が暗殺された。それをきっかけに、国際紛争が発生した。

 この紛争は坂を転げ落ちるように悪化し、最終的にドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー二重帝国、オスマン帝国、ブルガリア王国の同盟国と、イギリス、フランス、ロシアなどを中心とする連合国とを巻き込む第一次世界大戦にまで発展した。

 第一次世界大戦の戦場はヨーロッパや中東、アフリカに及び、人類史上初の世界的な戦争となった。戦闘は4年以上に及び、戦場にはそれまでほとんど使用されてこなかった航空機や戦車などの新型兵器が投入され、大国同士が総力をかけて争う総力戦となった。

 その第一次世界大戦の開戦から今年7月で100年の時が過ぎ、当時のことは人々の記憶の中から消えようとしている。しかし、第一次世界大戦とその後の出来事は、今でも世界の情勢に大きな影響を与え続けている。

 戦争終了後の戦勝国による中東の国境策定などについては、現在でも当時のままの姿が残っている。イスラエルとパレスチナ紛争の素地の中にも、当時のイギリスの外交政策のしこりが残っているとの指摘もある。

 また、戦争勃発前の世界情勢を見ると、それまで圧倒的なパワーを持っていた英国の凋落があった。それが世界大戦に発展する1つの要素だったと見られる。その光景は、現在の覇権国である米国の姿に重なるものがある。歴史を振り返り当時の教訓をなぞることは、それなりに意味のあることだろう。

資本主義の限界と国家間の総力戦
第一次世界大戦から得るべき教訓

 自由な経済活動を尊重する資本主義の経済体制には、昔からいくつかの欠点があると言われてきた。その1つは、資本主義経済体制の下では一時的に需要と供給の関係が崩れやすいことだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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