-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
ワーク・ライフ・バランスといえば「仕事と私生活に、均等に時間を割り振ること」というニュアンスがある。しかしより重要かつ効果的なのは、仕事と私生活の相乗効果の追求であると指摘する専門家がいる。難しそうだが、やりがいのある挑戦ではないだろうか。本誌2014年9月号(8月11日発売)の特集、「一流に学ぶハードワーク」関連記事。
出世の階段を上るためには、長時間働き、複雑で厄介な問題にも対処しなくてはならない。面白くてやりがいを感じる日もあれば、緊張の連続でストレスが溜まる日もある。仕事でも人生でもやるべきことは山積みだ。両立が難しいそれらを、どうこなしていけばいいのか。仕事によって私生活に悪影響が及ぶのを防ぐには、どうすればいいのか。これは、多くの人が抱えるジレンマである。
研究によれば、私生活に割く時間がないと感じている従業員は、職場でも疲れていて注意散漫であることが示されている。仕事が私生活に悪影響を及ぼせば、極度の疲労、家族や友人との関係の破綻、喜びの喪失、ストレスの増加にもつながる。
その一方で、キャリアの成功と充実した私生活の両方を、難なく手に入れているように見える人たちがいる。それを実現するためのヒントを、いくつか紹介したい。
1.仕事と私生活の「バランス」ではなく、「有効性」を追求する
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は、仕事と私生活に均等に時間を割り振らなくてはならないと感じさせる。職場における女性の機会向上を支援する調査会社カタリストは、「ワーク・ライフ・イフェクティブネス」という言葉を使い、仕事が人生の他の側面と対立しない環境を追求するよう提案している。研究者のジェフリー・グリーンハウスとゲイリー・パウエルは、このコンセプトをさらに拡大して、仕事と私生活は互いに補い合う関係であるべきとしている。親、配偶者、友人、従業員といった複数の役割を担うことで、実は心身の健康を高められるという。それらの役割が充実し整合性が保たれていれば、特にその効果が顕著のようだ。
ヤフーのCEOマリッサ・メイヤーは、息子が生まれてすぐに仕事に復帰し、厳しい視線にさらされた。彼女は自分なりのやり方で、母とCEOの役割を果たしたのだ。私たちはメイヤーのように大局的な視野を持ち、キャリアを私生活と断絶された義務的な活動としてではなく、人生に不可欠な一部分と見なすべきである。職場から家庭へ、あるいは家庭から職場への「ネガティブな波及効果」を避けるためには、すべてを同じ枠組みに入れ、一貫した物語をつくらなくてはならない。それによって、仕事と私生活の断絶を緩和できる。
ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソンは、最高のアイデアのいくつかは、家庭で子どもたちと仕事について話している時に思いついたものだという。これ以上ないほど忙しい時でも、私たちにできる最も実践的で効果的な方法は、仕事、家庭、健康、幸福に関する優先事項を連携させることなのだ。それによって、職場での明晰さや集中力はもちろんのこと、心身のエネルギーが飛躍的に高まる。