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投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明

資本の論理の「申し子」は日本企業を変えるか

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第1回】 2007年10月22日
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 米国がネットバブル崩壊から立ち直るのと軌を一にして、投資ファンドの活動は激しさを増していった。世界的な金余り現象を背景に、その勢いはとどまることを知らないかのように見える。

 今や欧米のM&A案件の3件に1件は投資ファンドへの売却案件である。日本ではその比率はまだ10%以下であるが、今後は欧米と同様、日本においても投資ファンドによる企業買収が活発化する可能性は高い。

 一方、サブプライムローンに端を発した世界的な信用収縮の動きは、投資ファンドの足場が意外ともろいものであることをも露呈した。ファンドが関与する大型M&A案件では、案件のキャンセルや延期が相次ぐようになった。

 また、すでにファンドが買収した案件についても、株式市場における信用収縮が続くようだとそのExit戦略(売却戦略)にも悪影響が出る可能性が指摘される。

 また、アメリカ最大手の投資ファンドであるブラックストーンが上場したが、これに追随する姿勢を見せていた他のファンドに関して上場延期の黄色信号が灯るという事態も起こっている。

 そもそも、投資家から直接資金調達が可能な投資ファンドが、わざわざ情報開示の手間をかけて上場をすることの意味は、勢いのあるうちに上場することで逃げの体制を固めようとしていることの裏返しではないかとも思われる。

日本企業にとっての意味を探る

 日本に目を転じると、村上ファンドの有罪判決やスティール・パートナーズの法廷での敗北、ファンドがらみの買収案件で少数株主の代表訴訟(カネボウ、レックス、サンスター)が相次ぎ、投資ファンドの置かれている立場は決して安泰ではない。

 資本の論理の申し子ともいえる投資ファンドが、どのように成立してきて、これから先どこへ向かおうとしているのか。その変遷と、特に日本経済に与える影響および日本の企業社会にとっての意味について、内外のファンド関係者、研究者、経営者の方々にインタビューを行いながら検証していきたい。

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
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投資ファンドはどこに向かうのか 保田隆明

経済・金融分野のエバンジェリスト、保田隆明が、キーパーソンへインタビューを通して、海外と国内の投資ファンドの活動とその影響を検証していく。

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