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地方はオリジナリティを売りにするな!
外国人が惹きつけられる日本の観光地の条件

――松嶋啓介シェフ×柳川範之・東大大学院教授【後編】

ダイヤモンド・オンライン編集部
2014年9月3日
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2014年の『ミシュランガイド フランス』で20人もの日本人が星を獲得した。そのなかで最も注目される1人が、外国人として最年少で星を獲得した松嶋啓介シェフだ。松嶋シェフはフランスに拠点を置きながら、地方から日本を元気にする活動にも携わっている。グローバル化において日本が活力を持ち続けるためには、一体何が必要なのか。前編中編に引き続き今回は、「地方活性化」を題材に、経済学者の柳川範之・東京大学大学院教授がインタビューする。

東京が日本の中心だという思い込みを捨てろ

柳川 松嶋さんは、地方から日本を元気にしていこうという取り組みをされていますよね。それぞれの地方や地域が持っている特性があって、そこから国際的にも展開していける。たとえばフランスの場合、それぞれの地方が独自色を持っていて、ある種のアイデンティティと気概を持っているわけですよね。日本も、それぞれの地方が持っている力をもう少し表に出していくことで海外にアピールできる、活力の源泉になると僕は思っています。

まつしま・けいすけ
1977年、福岡県生まれ。専門学校卒業後、「ヴァンセーヌ」をへて渡仏。2002年、ニースに「Kei's passion」をオープン。2006年に外国人最年少でミシュラン一つ星、2010年にフランス芸術文化勲章を受章。2009年、東京・神宮前に「Restaurant-I」を開店。開業5周年を迎え、2014年7月、フランス・ニースの本店と同じ「KEISUKE MATSUSHIMA」に店名変更。

松嶋 その話で1つ例を挙げると、今の福岡市長の高島宗一郎さんには、僕がいつもそういうことを言い続けているんです。彼が市長になる前のアナウンサー時代に、僕が福岡に帰ったとき「松嶋啓介を囲む会」が開かれて、福岡の企業家の人たちと会談する機会がありました。その時、高島さんから「市長選に出るけど、どう思いますか?」と聞かれて、僕は「いいんじゃないですか。でも、『変えたい』とは言わない方がいいですよ。いま住んでいる人たちは居心地がいいから絶対に票を入れてくれなくなる。高島さんはお年寄りに人気だから、もっと生活を進化させていこうと言ったほうがいい」と勧めました。

 福岡はすでに九州No.1の都市で、九州の人たちはみんな福岡に集まってくる。福岡には福岡出身の人たちが集まっているわけではありません。福岡の魅力は、外に出て行ったら気づくことなんですよ、と。では、どうすれるのか。それならば、アジアNo.1都市にしましょう、と言ったんです。彼は未だに言っていますよ。九州大学も変わった大学ですよね。あそこにベンチャー企業を誘致して、税金を払わなくていい仕組みを造ったらいいんじゃないですか、と言ったら、本当に経済特区になりました。

柳川 たしかに、福岡はそれができる都市ですね。でも他の都市は無理じゃないか、という反論もあると思います。いかがですか?

松嶋 大きい都市である必要はないと思います。ヨーロッパの経済特区を見たことがありますが、そうした区域は時代の変化が起きているときに生まれていますよね。モナコも、マルタも、ルクセンブルクもそうです。経済をブロックにしたことで、ヨーロッパはいま閉塞感が漂っていますよ。ヨーロッパを統合していないときは、フランスの経済をうまくまわすためにモナコがあった。イタリアの経済をうまくまわすために、マルタがあった。彼らはそう見ているんです。UAEのなかには、アブダビとドバイがあります。ドバイに行くと、イギリス人、フランス人、イタリア人、ドイツ人とヨーロッパの人ばかりですよね。そういう人たちのお金をもっていて、そこからUAEのお金としてフランスの物件を買い占めていて、うまくまわそうとしている、僕はそう見ています。

 今までは、ヨーロッパの国が1つずつ地域のどこかに特区をつくってやってきました。日本は福岡が起爆剤になればいい。九州だけが満足してもダメでしょう。例えば、北海道の一部を経済特区にして、ロシアだけ受け付けるということでもいいと思うんです。そんな発想でもいいと思いますが、なかなかそうはならないですよね。

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