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トンデモ人事部が会社を壊す

雇用問題を増長した人事部門の無策(中)
「やりがい」の名の下に社員甘やかしが横行する
“世界で最も働きがいのある会社”

山口 博
【第7回】 2014年9月9日
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 輸入販売業H社第一営業部で営業事務担当をしている川中さん。入社以来10年間、同部で営業事務を担当している中堅社員である。業務知識、業務スキルを十分に持ち、業務遂行スピード、正確性ともに群を抜いている。しかし、営業部のマネジャー、メンバーからの評価は、極めて低い。

顧客志向マインドの欠落が、評価を下げる
解決策は人事異動しかない

 「業務のお願いをすると、なぜ自分でやらないのかと叱られる」「出張規定に基づいて出張申請しているにもかかわらず、理由を言わずに突き返される。理由を問うとさらにコスト削減できるはずだと言う」「余裕のありそうな風情をしているので、普段はお願いしていない仕事を依頼すると、イレギュラーなことは一切できないと断られる」「朝の挨拶をしても挨拶を返さないので、いつの間にか誰も口をきかなくなった」「最低限のことをやってもらえばよいので、あまり意識したり刺激したりしないようにしてきた」と営業部のマネジャーは言う。

 実は川中さん、決してダメな社員ではない。「営業事務担当者は同社の事務プロセスの基本に忠実に則り、それを逸脱するかもしれない営業部門のメンバーの監視役となるべき」と教え込まれて10年間、それを忠実に実行しているだけなのだ。

 しかし悲しいかな、時代はこの10年のあいだに変わった。そして、「営業事務担当者に営業部のサポート役になっていただき、営業部の活動を臨機応変に助けてほしい」という会社の今日の期待と、川中さんのありようが乖離してしまったのである。

 営業部長は川中さんと何度かミーティングを持ち協力を促したが、川中さんのマインドは変わらなかった。人事責任者として着任したばかりの私は、この状況をふまえて、川中さんの営業サポート意識を高めるためには、顧客志向を体得できる部門へ異動させることが適切だと判断をした。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

「トンデモ人事部が会社を壊す」

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