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ヘッジファンドに潜む金融犯罪の闇

なぜ投資家はいとも簡単に騙されたか?
史上最大の投資サギ「マドフ事件」の教訓

有友圭一 [デロイトトーマツコンサルティング パートナー],藤澤俊雄 [デロイトトーマツコンサルティング マネジャー]
【第1回】 2009年6月11日
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 ヘッジファンドは、金融犯罪の標的となり得るリスクを抱えている――。

 このように聞けば、驚く投資家も多いだろう。

 高度に成長した現代の金融システムは、新たな投資スキームを常に生み出しながら、我々に多くの投資機会を提供している。

 なかでもヘッジファンドは、近年の国際金融市場において、1990年以降、重要な投資機会の1つとして急速にその存在感を増している。

 彼らは、機関投資家や富裕層から私的に集めた大規模な資金を元手に、あらゆる金融商品に積極的に投資することで知られている。そして、米大手証券ベアスターンズ傘下のヘッジファンドが、サブプライムローンに関連した運用に失敗したことが明るみに出る2007年6月までは、世界の過剰流動性を牽引して来た象徴的な存在だった。

 “Hedge Fund Research社”(注1)によれば、07年3月末時点でのヘッジファンド総運用資産残高は1兆5684億ドル(約188兆円)に上っており、およそ10年で約4.5倍にまで成長したという。(注2)

 だが、外部から見れば、その実態は謎のベールに包まれている場合が多い。1949年に誕生した言われるヘッジファンドは、およそ半世紀という時間をかけて、独自の発展を遂げて来た。その結果、高い金融知識を有するプロの投資家や金融関係者から見ても、「実態を捉えにくい投資手法をとっている」という印象が強い。

 このように成長して来たヘッジファンドは、様々な投資機会を提供する一方で、その特性上、「金融犯罪のターゲット」とされてしまうリスクも持ち合わせているのだ。

金融危機に苦しむ関係者にとって
投資サギの痛手はあまりにも大きい

 そのパターンはさまざまだが、わかり易いのが「架空投資サギ」だ。これは“ヘッジファンド”と称して投資家を複雑な投資スキームに迷い込ませた上に、投資額を騙し取るという、代表的な金融犯罪である。

 架空投資サギと言えば、元NASDAQ証券取引所の会長であり、高名な慈善家である「バーナード・ マドフ(Bernard Madoff)事件」が有名だ。

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有友圭一 [デロイトトーマツコンサルティング パートナー]

グローバル金融機関を中心に様々な業界に対するマネロン規制対応、業務プロセス設計、システム設計・構築、電子マネービジネスモデル策定支援、法規制アドバイザリーなどを手がける。著書に『マネーロンダリング対策の実務』(ファーストプレス刊)など多数。米国公認会計士。英国ウォーリック大学MBA。

藤澤俊雄 [デロイトトーマツコンサルティング マネジャー]

金融機関に対し国内法人設立を含む事業立上支援や法令順守体制構築を得意とする。また、幅広い分野におけるマネロンなど金融犯罪対策支援に精通している。金融犯罪に関連して「仮想世界に忍び寄る金融犯罪」でも仮想世界における金融犯罪対策について連載。


ヘッジファンドに潜む金融犯罪の闇

金融市場に大きなインパクトを与えるヘッジファンド。その実態は、謎のベールに包まれています。この連載では、金融危機後に再び市場に戻りつつある彼らが抱える「金融犯罪のリスク」について分析します。

「ヘッジファンドに潜む金融犯罪の闇」

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