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田中均の「世界を見る眼」

スコットランドの独立が決まれば何が起こる?
英国の国力低下だけでは済まない世界への影響

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第36回】 2014年9月17日
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予想に反した世論調査での拮抗
スコットランド独立の問題点は何か

 9月18日にスコットランドで、独立の是非を問う住民投票が実施される。英国に外交官として合計6年間居住し、英国のことは比較的よく知っていると自負してきた者として、まさかスコットランドの独立が住民投票にかけられるとは思わなかったし、仮に住民投票に付されても独立賛成の可能性が出るとは考えてもみなかった。

 多分、多くの英国人もそう見たのではないか。1997年にスコットランド議会の再設置を認めたブレア元首相や、独立派が過半数を占めたスコットランド議会を背景にしたスコットランド自治政府のサモンド首相の要求に応じ、2012年に住民投票実施に合意したキャメロン首相も同じであったのではなかろうか。

 スコットランドの世論調査でも、つい1ヵ月前までは独立賛成派は30%を超える程度であった。それが投票前夜のこの数日は、ほぼ50%に達し、賛成・反対どちらの結果に転ぶか予測が難しい情勢となった。

 英国の主要3政党の党首がスコットランドに入り、独立を阻む必死のキャンペーンを行っているが、効を奏することになるのか。世論調査はともかく、実際に投票するとなれば慎重になるという見方もされている。

 しかし、もしスコットランド独立となれば、その準備は十分されていないだけに、影響は英国に止まらず、広く世界全体へ広がることとなるだろう。今回の住民投票で独立が否決されたとしても、今後独立に向けての方向性が消滅するわけではないので、問題点を洗い出しておく意味はあるのだろう。

 まず、英国の国力は削がれ、国際社会における政治経済的影響力も大幅に低下していくことになるのが懸念される。スコットランドは国土面積では英国全体の約30%を占めるとはいえ、人口は約8%でかつ老齢化が進んでおり、GDPでも約9%を占めるにすぎないので、仮に分離独立してもそれほど深刻な影響はない、との見方もある。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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