イケメンでもモテない人はたくさんいるし、イケメンでなくてもモテる人はモテる。その差は、「ハッピーでいたい」という人の心理を知っているかどうかというシンプルな事実に尽きる。
つまり、心を読んで、相手をハッピーにすることができれば、イケメンでなくとも相手を虜にすることができるのだ。
では、なぜ人は自分をハッピーにしてくれる人の虜になってしまうのか?
人の心理を知り尽くすことで、非イケメンでチビ、コンプレックスだらけでも歌舞伎町No.1ホストになった著者が、その秘密を明かす。

誘導した結果、相手がハッピーになればいい

 セミナーや研修をやっていると、「そんなことまでして売らなければいけないのですか?」と、相手の心を読んで誘導することに抵抗感を示す方もいます。

 たしかに「誘導」というとズル賢く聞こえるかもしれませんが、誘導した結果、相手がハッピーになれるならば、私はむしろ積極的に取り組むべきだと思っています。心を読んで「騙す」のと、「ハッピーになってもらう」のは、まったく種類が異なります。

 私自身も先日、ある営業マンからハッピーな気持ちにさせてもらいました。相手は保険の外交員です。

 最初は「ちょっと保険を見直そうかな」くらいの軽い気持ちで家に来てもらったのですが、その営業マンは私の出演している番組の話から始め、気がつけば、彼の次男について、私の専門であるメンタルコーディネーターの立場から意見を求められていました(プライバシーの問題があるため、具体的な相談内容はオフレコとさせてください)。

 子どもが生まれたばかりの私は他人事には思えず、相手が営業マンであることも忘れてアドバイスを送るうちに、いつの間にか自分の家族やライフプランについて、その営業マンにしゃべらされていました。

 彼が商品説明をしたのは、最後の最後。でも、商品説明を聞く前に、私はすでに加入しようと決めていました。同じように子どもがいる身、さらにお互いの悩みや人生設計も共有したことで、悪い商品を売りつけるようなことはしないだろうという信頼関係が出来上がっていたからです。

 そのため、「売りつけられた」という後悔はまったくなく、「親身な営業マンに出会えてよかった」「いい保険に入れてよかった」というハッピーな記憶だけが残りました。

 確かめたわけではありませんが、おそらく彼はトップレベルの成績を収めているのではないでしょうか。まさに、いつもの自分のお株を奪われてしまった経験でした。