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元法制局キャリアが教える! 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方
【第8回】 2014年9月26日
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吉田利宏

生活保護の申請を思いとどまらせる
「窓口指導」はなぜ憲法に反するのか

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憲法の本質は、国民が権力に向けた「人権保障の指示書」であるということ。「こうした人権は必ず守りなさい!」と国民が権力に向けて出した指示書が憲法の本質なのである。
そのため、憲法の規定全体が「人権保障の仕組み」として働くことも、憲法の仕組みであり、統治規定ですら「人権を守ること」を目的としているのだ。
今回は、人権に関する2つのテーマ(表現の自由と生存権)と統治に関するひとつのテーマを選んで、人権を守るという大きな視点からその意味を考えてみたい。

「表現の自由」はなぜ重要なのか?

 最終回となる今回は、引き続き憲法についてお話しします。前回お伝えしたように、人権に関する2つのテーマ(表現の自由と生存権)と統治に関するひとつのテーマを選んで、人権を守るという大きな視点からその意味を考えてみたいと思います。

 最初に「表現の自由」です。もちろん、最も重要な自由のひとつです。表現の自由は「国民が考えたことを外部に表現する」ばかりでなく、マスコミなどの「報道の自由」も含まれます。

 表現の自由がとりわけ重要な理由は、表現の自由が失われた国を思い浮かべてみるとよくわかります。表現の自由が失われると、「国民ひとりひとりが情報を得て、自分の頭で考え、政治に参加する」というプロセスが働かなくなってしまうことになります。これは、権力を有している者が「主」で、国民は「支配される対象」になり下がることを意味しています。

 日本では、国民が主権者です。権力を有している者は国民が任せた結果そうなっているに過ぎません。ですから、国民が必要な情報を得て自由に考えを表明することは当然のことです。憲法もそのことをキッパリ権力につきつけています。これが憲法21条です。

○憲法
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 ところが、権力の側にある者にとっては「国民が何でも知っている・何でも言える」という状態はやりにくいに違いありません。しかも、長い間、権力の側にあると、そうした地位にあることが当然に思えてくるからやっかいです。ですから、「表現の自由といっても、言っていいことと悪いことがある」とか「最近のマスコミの報道は偏っていて公の器としての役割を果たしていない」などという意見が必ず出てくるものです。

 権力を持った者に対しての批判は厳しくなりがちです。しかし、これは権力を持ったことの裏返しとして、ある意味当然なことでもあります。こうした批判にこたえていけないのなら、権力の座にある資格はありません。

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吉田利宏(よしだ としひろ)

元衆議院法制局参事
1963年神戸市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、衆議院法制局入局。以後15年にわたり法律案や修正案の作成に参画。現在、著述、講演活動を展開。早稲田大学エクステンションセンター講師、自治体研修講師・各種審議会委員。
主な著書に、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)、『つかむ・つかえる行政法』(法律文化社)、『法令読解心得帖』、『法実務からみた行政法 エッセイで解説する国法・自治体法』(いずれも共著・日本評論社)、『新・法令用語の常識』(日本評論社)など多数。


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