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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

バブル期「ボーナス400万円」の企業戦士は今――
金がなくなった“拝金主義”企業の袋小路

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第4回】 2014年9月30日
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「金! 金! もっと金!」
“拝金主義”で闘った企業戦士たち

 「人はなんだかんだ言っても金が欲しい。しかも、将来ではなく今の金だ。要するに金なのだ。一緒に働いて成果を出し、そのご褒美としてたくさんのお金をもらおうじゃないか!」

 これは、就職活動中だった私が、とある急成長企業の30代後半と思しき営業部長からかけられた言葉だ。彼はそのあと「この夏のボーナスは400万円だった。冬はもっと多いだろう」と得意げに語った。

 ときはバブル前夜の1986年。景気の波に乗った会社はすでに十分ウハウハだった時期だ。そのびっくりするようなボーナスの額は、彼にとって学生を獲得するための一番の殺し文句だったのだろう。当時はこのように営業力に重点を置いた、“拝金主義”と呼ばれるような企業がほかにもいろいろあった。なかでもこの企業は異彩を放っていたが。

 田舎者の私には、このむき出しの拝金主義の世界でやっていくイメージがまったく持てずに、このお申し出を丁重にお断りすることにした。しかし、この企業に対して“アンチ”の気持ちを持ったわけではない。

 その企業の社員はみな歴戦の勇士のような面構えで、全身から仕事への闘志と自信がみなぎっていた。“サラリーマン”というよりは“仕事人”。戦場で闘う戦士のようだった。

 その一方、就職活動で他の企業の社員と話しても、彼らが語るのは“企業の業績”だった。そのため、立派なのは企業であって、話をしている本人が立派だとはとても思えない。しかし、この企業の社員はみな“自分の成果”を語った。その姿は頼もしく、純粋に「すごい強者揃いだな」と尊敬の念を抱いたものだ。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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