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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

議員定数を撤廃し、成果主義による報酬に! 
お粗末な地方議会を変える新制度の提案

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第111回】 2014年9月30日
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議員定数削減と増員の2議案が並立
奇妙な展開となった豊明市議会

 愛知県豊明市で9月25日、興味深い出来事があった。その日は市議会の9月定例会の最終日。本会議で互いに相容れない2つの議案についての採決がなされた。

 1つは、現行の議員定数を20から15に削減するという条例改正案だ。住民からの直接請求に基づく議案で、寄せられた署名数は有権者総数の14.5%ほどにあたる7822人分。直接請求に必要な50分の1以上を大きく上回った。

 議員定数の5つの削減を求める住民の直接請求に対し、豊明市の石川英明市長は「時代の変化を敏感に感じ取った市民の活動成果だと思います。市議会の責任のもとで適切なるご判断をお願いいたします」との意見書を添付し、条例改正議案を提出した。

 もう1つの案は、議員定数を25に増員するべきという1人の住民からの陳情である。こちらは「定数削減するよりも、今までにない考え方や経験をもつ人物が、登場しやすい議員定数増員制度に変えるべきである」との主張だった。

 2つの案は議員定数に関する正反対の主張で、互いが並び立つものではない。採決の結果は、定数削減の条例改正案が賛成6に反対13で否決。そして、定数増員の陳情は「採択」や「不採択」ではなく、「趣旨採択」での賛否となり、賛成12反対7で可決された。

「趣旨採択」というのは、請願・陳情の内容について妥当と考えるが、実現性などに確信が持てない場合などにとられる議会の意思決定方式だ。不採択として退けたくないが、採択もしにくいといったケースで、あくまでも例外的な措置である。

 世の中には、どんなに考えても正解を見つけ出せない難題が存在する。そもそも、正解と言えるものがあるかどうかさえわからない課題も多い。それでも、何らかの答え(方針)を選択しなければならない場合がある。そうしたケースでは、選択した答えが正しいかどうかよりもより、多くの人がその答えを選択したことに納得できるかどうかが、重要となる。

「これだ」という正解を見つけ出せないものの代表的な事例の1つが、地方議員の定数と報酬である。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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