現代の経営
ダイヤモンド社刊
上下巻各1800円(税別)

 「経営管理者の仕事は、組織の目標によって規定される。しかも実体がなければならない。組織の成功に対し、目に見える貢献を行わなければならない」(『現代の経営』)

 経営管理者の仕事は、極力大きなものにしなければならないとドラッカーは言う。明示的に制約されない限り、あらゆることについて権限を持つものとしなければならない。

 彼らの仕事は上司ではなく、仕事の目標によって方向づけされる。それは、組織が遂行すべき課題のゆえに存在する。ほかに理由はない。事業全体の成果を指し示し、ここのところは私が貢献したと言えなければならない。情報の中継点にとどまってはならない。

 これに加えて、基本的な活動が5つある。すなわち、目標を設定することである。組織することである。動機づけを行ない、コミュニケーションを行なうことである。評価測定することである。部下を育成することである。

 つまるところ、あらゆる経営管理者が、3種類の責任を持つ。第1に、直接の上司が率いる部門全体の目標に対する責任である。第2に、組織全体に対する責任である。第3に、部下に対する責任である。この下への関係をひと言で表すならば、補助が最も近い。

 「部下の仕事は客観的な必要性による。仕事ぶりや成果は部下のものである。責任も部下のものである。そして彼らを助けることが、上司たる者の責任である」(『現代の経営』)