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China Report 中国は今

諦めムードの香港民主化運動
なぜ中国大陸では民主主義が開花しないのか

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第163回】 2014年10月24日
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 10月21日、香港で普通選挙を求める学生と香港政府の間で対話が行われた。「全人代がすべてを決定するのはおかしい、撤回を要求する」とした学生に対し、香港政府は「香港は政治的に独立した体制でない」と、頑として受け入れなかった。対話は平行線をたどり、改めて対立の根深さを浮き彫りにした。

 抗議活動はさらに長引くようだ。そもそも中国はこれをどう見ているのか。中国政府および共産党の公式見解は次のようなものだ。

共産党の公式見解
「英国より中国の方がよほど民主的」

 「占中(中環の占拠)という非法集会は3500億元もの経済損失をもたらし、市民生活や香港の法治に影響を及ぼし、民主の発展、社会の安定、国際的イメージにおいて多大な損害をもたらした」

 「占中は全人代の決定を覆そうとし、さらには長官を引きずり降ろそうとする、過激な抗議手法で政府を脅かすものだ」

 そしてさらにこう続く。

 「少数の人々は『我々は英国時代に戻りたい』と言うが、1982年まで香港人には選挙権、被選挙権などなかったのだ。当時は誰が総督になろうとも香港人には発言権はなかった。英国より中国の方がよほど民主的なのだ」(新華社)

 これを聞けば中国大陸の国民は「そうなのか」と思ってしまう。民主化を求める「同胞」の動きに、肝心の中国大陸の中国人が背を向けたのも、こうした理由からだろう。日頃、共産党批判に気炎を上げる市井の人々も、同胞が闘う民主化運動にはあまり関心がない。それどころか、大陸の若者は学生の活動を「幼稚だ」「無邪気だ」「笑える」などと嘲笑する。

 言うまでもなく、中国は西側諸国型の民主主義には懐疑的だ。共産党国家の中国は「西側諸国の民主制度が生んだ結果を、決して民主とみなすことはできない」とする立場なのである。

 上海の大学生が手にするテキストにはこう書かれている。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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