課長ともなると、「派閥」へのお誘いがきます。派閥は決して「悪」ではなく、上層部とのコネクションをつくったり、他部署のキーパーソンとつながるメリットもあります。ただし、関わる「派閥」を間違えると、会社人生そのものが狂ってしまいます。「派閥」の良しあしを見極めるには、どうすればいいのでしょうか?

「派閥の状況」は、
4つのカテゴリーに分類できる

  派閥といかに付き合うか――。
 これは、ビジネスマンにとって重要な課題です。

 まず重要なのは、社内の派閥がどのような状況にあるかを把握することです。一口に派閥といっても、社内の派閥状況はいくつかの種類に別れます。大きく次の4種類に分類すると整理しやすいでしょう。

1 無派閥状態
2 派閥どうしが健全な緊張関係にある状態
3 派閥どうしが排他的な関係にある状態
4 派閥どうしが敵対的な関係にある状態

 おおむね、どの会社もこの4つのカテゴリーに分けることができます。課長になったときには、自社がどのような状況にあるかを冷静に観察するといいでしょう。そのうえで、派閥との付き合い方を明確な意志をもって選択することです。

「無派閥状態」とは、オーナー創業社長が絶対的独裁体制を維持している場合など、派閥が抑圧されている状況です。独裁社長に派閥活動と認識されれば制裁が加えられるおそれがあるため、表だった派閥活動はありませんが、水面下では役員ごとに、あるいは部署ごとに派閥的な人脈が息づいています。

 また、「排他的関係」「敵対的関係」は、文字通り派閥ごとに潜在的・顕在的に闘争している状態です。闘争状態が顕在化している「敵対的関係」にある会社では、社員は過酷な労働状況にあるといっていいでしょう。

 ここでは、4つのカテゴリーのなかで、もっとも望ましい状況である「健全な緊張関係」にある会社での身の処し方について考えていきたいと思います。

派閥は常に、
インフォーマルな「勢力争い」の色彩を帯びる

「健全な緊張関係」にある状況とは、派閥間で議論を戦わせることでより高次な問題解決法を生み出したり、派閥が牽制し合うことで経営にバランスが生れるなど、派閥のメリットが最大限に活かされる環境といえるでしょう。

 課長ともなると、いくつかの派閥から声をかけられるようになります。「将来の役員候補」と目されるエリート社員であれば、役員の派閥から声をかけられることもあります。エリートではなくても、組織のなかでリーダーシップを発揮したい人から、「思いを同じくする仲間を集めて、一緒に会社を変えよう」などと声がかかり、派閥らしきものとのかかわりが生じることは多々あるはずです。

 健全な環境にある場合は、そうした「誘い」に対してあまり身構えすぎる必要はないでしょう。派閥と賢く付き合うことによって、上層部とのコネクションができたり、部署横断的な人脈が手に入るなど、さまざまなメリットがもたらされるはずです。

 とはいえ、どんなに健全な環境にあっても、派閥はインフォーマルな勢力争いの色彩をもちますから、実際に付き合うときには慎重に判断する必要もあります。それで悩んでいる人も、たくさんいることでしょう。

 こんな相談を受けたことがあります。