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トンデモ人事部が会社を壊す

世紀の悪法が、雇用の現場をかき回す(中)
やみくもな規制強化は本末転倒
改正派遣法の本質的問題はどこにある?

山口 博
【第10回】 2014年11月4日
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 「派遣社員は、正社員向けのプログラムに参加することができません」

 製造業T社の人事本部長に着任したときのこと。私が進行役を務める、能力開発プログラムやチームビルディングのセッションに、正社員だけでなく、派遣社員の方々にも参加してもらうように指示した際に、人事本部の他のメンバー(いずれも正社員)から受けた反論である。

「教育は派遣会社がすべき」
派遣社員を巡る企業内差別の実態

 理由はこんなところだ。「正社員と派遣社員は契約形態が異なるから」。また、「派遣社員は契約期間が短いので研修しても無駄だから」、「派遣社員の時間給は研修参加のために支払うべきではないから」、さらには「派遣社員の能力開発義務は、派遣元の派遣会社が負うべきであるから」――。

 これらに対して私は、「契約形態が異なる派遣社員も含めてのチームビルディングこそが必要だと思っていること」、「今後の成長によって、人によっては契約形態ひいては契約期間は変わる可能性があること」、「時間給数時間分で能力開発の効果が高まれば費用対効果は高いと考えていること」、「派遣社員の研修は派遣元の派遣会社のみならず派遣先企業との両方で担えばよいと考えていること」などを説明した。

 正社員メンバーは納得していないようだったが、私は派遣社員を交えてこれらのプログラムやセッションを決行し、その後も実施し続けた。能力開発やチームビルディングの効果はあらわれ、派遣社員や派遣会社からは大いに感謝された。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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