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野口悠紀雄 緊急連載・アベノミクス最後の博打

アベノミクスの中身を暴露したGDPの落ち込み
マイナス成長は駆け込み需要の剥落が原因

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【新連載・第1回】 2014年11月20日
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日本経済の現状は、「消費税増税による一時的な落ち込み」ということでは捉えられない中長期的な問題を抱えている。本連載では、まずマイナス成長の原因を分析し、消費税増税延期の是非について考えることとしよう。

 2014年7~9月期の実質GDP(国内総生産)の対前期比成長率は、▲0.4%(年率▲1.6%)となった。

 4~6月期の▲1.9%(年率▲7.3%)に続く2期連続のマイナス成長だ。しばらく前まで、「消費税増税による落ち込みは一時的。経済は早期に回復する」との見方が喧伝された。しかし、そうではないことが明らかになった。

住宅投資が激しい落ち込み

 GDPを構成する需要項目について見ると、7~9月期の落ち込みが激しかったのは、民間住宅である。7~9月期の実質成長率は▲ 6.7%(年率換算で▲24.1%)であった。GDPに対する寄与度は▲0.2%だ。

 公的固定資本形成(実質)はプラスの伸びになっている。

 民間企業設備は、▲0.2%(年率で ▲0.9%)となった。また在庫投資の成長率に対する寄与度は、▲0.6%となった。需要の鈍化を反映して、在庫調整がなされたためだ。

 このように、経済は「好循環」とはまったく言えない姿だ。

 以上は対前期比の計数であるが、対前年同期比の推移を見ると、2013年1~3月期以降の各期について、図表1のとおりだ。

 ここで対前期比でなく対前年比を見るのは、そのほうが短期的変動に攪乱されない動きを見られるからだ(とくに今年の前半は消費税増税の影響があったので、対前期比で見ると、経済の動きがよく分からない)。また、安倍晋三内閣の発足は12年12月26日であるので、13年1~3月期以降の期間を見ることによって、安倍内閣の経済政策の評価ができるからだ。

図表1において、つぎの諸点が注目される。

 第1に、14年7~9月期の実質GDPの対前年増加率は▲1.2%であって、4~6月期の▲0.2%より悪化している。このことは、現在の景気の落ち込みは、消費税増税による短期的なものだけではないことを示唆している。

 第2に、需要各項目の中では、住宅が▲12.3%と、大きな減少となっている。この数字も、4~6月期の数字▲2%より悪化している。後に見るように、住宅投資は12年頃から顕著に増加していた。これは消費税増税前の駆け込み需要(支出の前倒し)だったと考えられる。それが、剥落したのである。

 第3に、公的固定資本形成は、対前年同期比がプラスだが、13年の伸び率が2桁を超えていたことと比較すれば、大幅に鈍化した。ただし、水準はまだ高い。したがって、これが剥落すれば、GDPはさらに落ち込む。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 緊急連載・アベノミクス最後の博打

アベノミクスのメカニズムは、「金融緩和を行なう」という宣言によって、円安への投機を煽ることだ。円安によって輸出産業は潤うが、実体経済は改善していない。実際は、円安が経済成長率を抑えている。これは、アベノミクスの基本が間違っていることを示している。

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