東京都内・表参道で11月30日、元当事者8人が次々にプレゼンしていく「Tedカンファレンス」の方式で、「引きこもり支援」のあり方を提案しようという「ひきこもりUX会議」が行われた。

 UXとは、ユーザー・エクスペリエンス(利用者体験)の略。会場の東京ウィメンズプラザのホールは、満席となる300人以上が全国から詰めかけ、支援者目線で支援されるのでなく、当事者が生の声で発信していこうという変革のうねりを感じさせた。

「不登校なら、学校に戻す。引きこもりなら、就労に向けて当事者を訓練するという支援の流れに少々違和感を抱いてきた。自分たちのことは、自分たちの言葉で伝えたい」

 まず主催者の「新ひきこもりについて考える会」世話人の林恭子さんから、こうした「支援」と「多様性」をテーマにした会の趣旨が説明された。

「病院の壁に“支援のポスター”を」
引きこもりを救う希望の入り口に

 長らく自助グループなどに関わった後、現在はNPO団体職員で「地域若者サポートステーション」相談員の岡本圭太さんは、

「『引きこもり』と言ってもらったことで、自分は安心できた」という自らの経験を紹介。

「医療にできることには限りがある。自立というのは、多くの依存先を持っていることだと思う。とくに、家族にしかできないことが必ずある」

 と、家族が下支えしてあげるなどの環境整備の大切さを訴えた。

「不登校新聞」で「ひきこもるキモチ」を連載している石崎森人さんは、精神科通院歴13年。現在は、ベンチャー企業に勤める。