父親には、先代から引き継いだ土地があり、預金などを合わせると、財産は約2億5000万円になります。信託銀行から提示された費用は、270万円でした。その他に税理士の申告費用がかかりますので、相続税の申告と遺産整理費用で400万円近くかかるということです。

【これが課題】分割案や二次相続対策のアドバイスはしない

 信託銀行の担当者は、父親の預金を集めて、財産の目録を作成してくれるといいます。

 しかし、父親は信託銀行のOBなのに、遺言信託はしていません。そこで、あらためて遺産分割協議が必要となったのです。

 相続人は、母親とKさん、両親の隣地に住む妹の計3人ですが、Kさんは嫁いで近県に住んでいます。母親は高齢のため、細かい実務は負担があり、妹はフルタイムで仕事をしているため、時間の余裕がありません。そこで、Kさんが何度も実家に通い、役所や金融機関の窓口に出向いて書類を取得し、相続手続きも中心になって進めることになりました。

 父親の土地は3ヵ所あり、自宅まわりと駐車場です。この不動産をどう分けるか、二次相続の対策をどうするかなど、相続人だけでは、どう決めていいのか、わかりません。

 信託銀行に相続手続きを依頼するのであれば、そうしたアドバイスもしてもらえると思ったところ、信託銀行では、分割案や二次相続対策のアドバイスはしないので、相続人で相談して決めてもらいたいと言われたのです。

【こんな結末になった】分割案や二次相続対策で相続税を減らすことができる

 困ったKさんは、専門家に相談しました。やはり、分割案や二次相続対策が重要で、それにより、将来の相続税を減らすことができるとアドバイスをされました。

 土地の現地調査をしたところ、3ヵ所のうち、1ヵ所は広大地評価が適用できると判断、評価を下げることができました。また、分割案も3パターンの提案がありました。