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日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

理念なきモノづくりは凶器と化す 
人類の幸福に貢献する「日の丸製造業の使命」

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]
【第21回・最終回】 2014年12月17日
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モノの発展は人類に貢献する
だがそれはある日突然脅威にもなる

 日本の自動車部品メーカー、タカタの品質保証担当役員が、米国の国会の場に立った。数年前、トヨタ自動車社長の豊田章男氏が同じ境遇に置かれたときの光景が、デジャブのように脳裏をよぎる。

 海外で波紋を広げているのは、タカタが製造したエアバッグの欠陥問題だ。エアバッグの作動時に金属片が飛び散るなどのリスクがあり、それが原因と見られる死亡事故が米国などで発生した。タカタのエアバックは多くの日系自動車メーカーの自動車に搭載されており、世界各地で自動車のリコールが相次ぐ騒動となっている。

 人命にかかわる事業を担う責任と義務。巨大化する企業の毛細血管にまでその社会的使命を刷り込むのは難しい。しかし、事業の「拡大」が「肥大化」と揶揄されないためには、背負わなくてはならない責務だ。

 台頭する新興国の中間層を取り込むために、製造業はモジュール化を推進し、効率的なモノづくりを指向する。部品が共通化されるのに従い、1つのリコールが企業の命運を左右するようになる。一昔前は「セキュリティ事故が企業を滅ぼす」と言われていたが、その社会的意識はリコール(品質)へと向かいつつある。

 モノの発展が人類の前進に貢献することは、ある側面では事実であるが、そのモノが突然人類に対する脅威になることもある。

 足もとでは、人工知能の開発が盛んだ。様々な情報とアルゴリズムを駆使して、人間と同様の思考をロボットが担えるよう、開発が進められている。ある方がこう言っていた。「世の中に一番悪い影響を与えているモノに攻撃を加えよ」とロボットに命令したら、ロボットは人間に攻撃を開始するだろうと。物事には、常に負の側面が付きまとう。成長の過程で増殖を続ける病魔を、監視し続けなくてはならない。これは企業の使命だ。

 タカタは一部上場企業であるが、半数以上の株式を一族が保有する。騒動が起きてから、いまだに代表取締役は公の舞台に顔を出さない――。

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松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]

株式会社O2(オーツー)株式会社XrossVate(クロスベイト)株式会社安田製作所代表取締役。1970年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。大手化学メーカー、外資系ITベンダーのディレクター、コンサルティングファームのディレクターなどを経て、2004年株式会社O2を設立、代表取締役就任。2013年に新会社XrossVateを設立。2014年に射出成型用金型メーカ株式会社安田製作所に出資を行い経営参画。


日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本の製造業は危機に瀕していると言われて久しい。様々な業界関係者が口にする「日本企業は技術で勝っても事業で負けている」という言い訳は、本当に正しいのか。実は、日本のゲンバにはもっと根深い本質的な課題がありそうだ。日本企業の5重苦、7重苦の原因は、日本の技術力の低下そのものにあり、その原因は大きく「技術伝承」の放置と悪い意味での「部分最適思考」の2つにある。製造業を中心に大手企業のコンサルティング業務を手がけ、企業のゲンバと深い付き合いを続けてきた株式会社O2(オーツ―)の松本晋一代表取締役が、“超高速すり合わせ型”モノづくりの極意を説く。

「日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ」

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